明日ママがいないの56日間、日本テレビが守ったものと失ったもの

数々の批判にさらされ、スポンサーも撤退してしまった『明日ママがいない』が最終回を迎えました。関係機関には謝罪し、内容もできる限りの変更をしたものの、第3回から最終回まで、CMなしの放送でした。営業的には莫大な損失をこうむり、視聴率も伸びず、内容もそれほど評価されないという厳しい結果です。日本テレビにとって、この56日間は何だったのか、何を失い、何を守ったのかを、検証しました。

スポンサードリンク

3月12日『明日ママがいない』の最終回が放送されました

1月15日の第1回の放送直後に、赤ちゃんポスト「こうのとりのゆりかご」を運営する慈恵病院が、放送中止を求め、さらに1月16日には、全国児童養護施設協議会(全養協)と全国里親会が、内容の見直しを求める会見を開いています。

この時点ですでに、最終回までのストーリーは、ほぼ完成していたようで、日本テレビは、強気の姿勢を崩さず、予定通りの内容で、最終回まで突き進む方針を固めていました。

ところが、番組への批判が提供スポンサーにまで及び、一部スポンサーがCMの放送を自粛するという事態にまでなってしまいます。

スポットCMスポンサーからも、この番組にはCMを出したくないという動きが出るに及んで、ついに、この番組から、一切の有料スポンサーがいなくなるということになってしまいました。

第3回放送からは、全スポンサーがCMの放送を自粛するという、民放のゴールデンタイムでは史上初の異常事態となりました。

さらに、国会でもこの番組が取り上げられるなど、問題はどんどん広がりを見せます。

日本テレビは、かつてない窮地に追い込まれることになりました。

結局、それぞれの批判には、「施設の子供が傷ついたりすることはドラマの意図するところではなく、重く受け止め、衷心より子供たちにおわび申し上げます」と謝罪、「これまで以上に子どもたちに配慮していく」との回答をするに至ります。

スポンサードリンク

『明日ママがいない』は、全9回の放送であることが、すでに発表されており、もし途中で番組打ち切りとなれば、批判に全面的に屈したことになり、日本テレビの放送局としてのメンツやプライドは、丸つぶれとなってしまいます。

さらにスポンサーのCM自粛によって、番組を打ち切ることになれば、番組内容へのスポンサーの干渉を認めることになり、今後の番組編成に、大きな禍根を残すことにもなってしまうのです。

やむなく第3回以降は、CM枠で、AC(公共広告機構)の告知と、NTVの他の番組の宣伝告知でCM枠を埋めて放送をするという決断をしました

提供スポンサーの説得を続けたものの、第9回の最終話までこの状況を打開することはできませんでした。

これによる日本テレビの営業的損失は、最低でも4億~5億円に上ると見られています。

4回目以降は、全養協に回答したとおり、過激な演出は影をひそめ、施設にかかわる大人たちの善意に焦点が当たるストーリーになっていきました。

DV(家庭内暴力)や、ネグレクト(育児放棄)里親探しなど、今日的な問題を鋭く提起した第1回から第3回と比べて、第4回からは予定調和的な内容が多く見られるようになっています。

最終回では、それぞれの子供たちが、新たな家族を見つけて、旅立つという、とても穏やかな結末を迎えました。

3月12日第9回の放送を終えて、”日本テレビにとっての最も長い56日間”が、やっと終りました。

企画段階での、社会的問題にメスを入れるという野望はとても実現できたとは言えません。

日本テレビが、ノ―CMで、歯を食いしばりながら、最終話まで放送してまで守ったものは一体何だったのでしょう。

それが単なる、薄っぺらな放送局のプライドではないことを、祈るばかりです。

『外部からの干渉に屈せず、スポンサーからの圧力にも負けず、放送番組の自主性・独立性を保つ』という大義名分は、本当に守られたのかどうか、議論の分かれるところです。

この番組で、重要な役を演じた子役たち(芦田愛菜、鈴木梨央、桜田ひより、渡邉このみ)は、過剰な演出の要求にも、よく応えていました。

ただ大人の事情で、混乱したであろう撮影現場で、彼女たちが受けたプレッシャーを思うと、胸が痛む思いがします。

全9話の放送が終わった今、日本テレビはこの顛末をしっかり総括して、今後に生かすべきでしょう。

スポンサードリンク

追記

最終回の視聴率は12.9%、全9回の平均視聴率は12.8%を記録、2014年1月期の連続ドラマでは、『S -最後の警官-』に続き、2位となっています。

赤ちゃんポストを設置している慈恵病院は、この番組について、放送倫理・番組向上機構(BPO)に審議を求める申し立てをしていますが、今後BPOがどのような結論を下すのか、注目されるところです。

追記

2014年3月16日、放送倫理・番組向上機構(BPO)の「放送と青少年に関する委員会」は、「明日、ママがいない」を審議の対象にはしないと、発表しました。

委員からは、「関係団体への配慮は丁寧にしなければいけない」という意見が出た一方、「デリケートな問題を扱いにくくなるのは問題」「番組が里親問題などを明るみに出した面もある」との肯定的な意見もあり、総合的に判断したものと思われます。

関連記事
明日ママがいない、NTVが謝罪、ノーCM放送で追い詰められた?
芦田愛菜主演明日ママがいないに、赤ちゃんポストから放送中止要請

記事に共感していただけたら、下のボタンを押してください。


コメントをどうぞ

メールアドレス (必須・公開されません)
コメント本文

  • 投稿いただいたコメントは、管理者のチェック後掲載しておりますので、即時には反映されません。