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アイドルグループに選抜制とアンダーグループが必要な理由~アンダーグループを否定した欅坂46の悲劇~

アイドル

AKB・坂道グループでのアンダーの意味と、乃木坂46にアンダーグループが生まれた理由

AKB48の劇場公演から生まれた”アンダー”

秋元康総合プロデューサー率いるAKB・坂道グループは、標題シングル曲で毎回異なるメンバーを歌唱メンバーとして選んでいる。

これがいわゆる選抜制というもので、そこに選ばれたメンバーは”選抜メンバー”と呼ばれる。

乃木坂46では、選抜メンバーに選ばれなかったメンバーのことを、”選抜メンバー”と対比して、いつしか”アンダーメンバー”と呼ぶようになり、アンダーメンバーを一括りにして”アンダーグループ”と呼ぶことになっていった。

だが元々は、AKBグループにおいて”アンダー”は”選抜メンバー”と対比する呼び方ではなかった。

アンダーという言葉は、舞台用語のアンダースタディに由来している。

(注)アンダースタディ:舞台芸術などにおいて、元々の役者に何らかの緊急事態が起こって演じられなくなったときに備えて、代役ができるように別の人間がその役を練習しておくことまたはその代役の呼称。

AKBグループは常設劇場を持ち、定期的に多数の正規メンバーが出演する公演を行っている。

その中で、正規メンバーが他の仕事や学業、体調などによって舞台に上がれない事態が起きた時に、代役としてステージに立つ人材を確保しておく必要が生じた。

その代役のことを舞台用語にならって”アンダー”と呼ぶようになったのである。

そういう経緯から生まれた”アンダー”という言葉は、表題シングル毎に選ばれる”選抜メンバー”と対比する言葉ではなかったのである。

AKBグループでは、正規メンバーに昇格する前の”研究生”がアンダー役を担った。

正規メンバーには曲によって、”センター”などの決まったポジションが与えられていて、すべてのポジションにアンダーが存在していた。

神7と呼ばれた人気メンバーは、テレビ出演などで忙しく、劇場公演の練習時間がほとんど取れない状況であった。

神7の1人、篠田麻里子は、”(自分のアンダーであった)横山由依(当時研究生)からいつも振り付けを教えてもらっていた”と当時を振り返っている。


横山は、篠田のポジションだけでなく、他の人気メンバーの振り付けも覚えていて、多くのメンバーからその努力を認められ、感謝されていた。

その結果横山由依は、同期の中で一番早く正規メンバーに昇格している。

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乃木坂46におけるアンダーメンバーとアンダーグループの意味

AKB48の公式ライバルとして結成された乃木坂46は常設の劇場を持たず、定期公演も行われないので、AKB48のような意味でのアンダーは必要がなかった。

乃木坂46には、表題シングル毎に選ばれる”選抜メンバー”と”非選抜メンバー”の2種類があるだけだった。

ところが、グループ結成からある程度の時間がたつと、色々な事情でグループを離脱するメンバーが出始める。

選抜・非選抜メンバーを問わず、体調を崩したり、学業に専念するためであったり、グループにいるモチベーションを失ってしまったとか、グループを離脱する理由は様々である。

離脱する選抜メンバーの補充を非選抜メンバーで行えば、選抜メンバーの質は、どんどん低下していく。

選抜メンバーの質を落としたくない運営は、新たなオーディションを実施して、将来選抜メンバーになりそうな優秀な人材を確保しようと考えたのである。

こうして誕生したのが、乃木坂46の2期生・3期生・4期生たちである。

33名の1期生で発足した乃木坂46は、9年間の歴史の中で26名が卒業(契約解除を含む)したが、2期・3期・4期生の追加で、現在でも43名が在籍している。(2020年2月11日現在)

毎回の標題シングルではおよそ20名前後の選抜メンバーが選ばれるので、残りの20数名は非選抜メンバーとなる状況である。

AKB48では、非選抜メンバーであっても劇場公演に出演する機会があり、自己研鑽に励むチャンスが与えられていた。

常設劇場を持たない乃木坂46では、選抜メンバーから漏れてしまえば、レッスン以外にすることはなく、ファンにアピールするチャンスはほとんどない。

そういう状況で、非選抜メンバーに定着してしまったメンバーは次第にアイドルを続けるモチベーションを失っていく。

一方で、乃木坂46は、年間百数十億を売り上げるビッグビジネスで、莫大な利益を上げている。

それを背景に、人気メンバーには一般企業では考えられない高額な給与が支払われている。

たとえ不人気メンバーであっても、長くグループに在籍しているメンバーには、それなりの給与が払われていて、家賃の補助など手厚い処遇が行われている。

非選抜メンバーの常連でも、数十万円もするハイブランドの洋服やバッグを身に着けて移動する姿がメディアに捉えられている。

▼39万円のDIORのバッグを持つアンダー常連の中田花奈

グループに居続ける意味を見失なってしまっても、卒業後に何の当てもないメンバーにとって、乃木坂46はぬるま湯のように居心地が良い場所でもあるのだ。

有り体に言ってしまえば、そういう底辺メンバーには早くグループを去って欲しいというのが運営の本音である。

が、そう都合よく事は運ばない。

そこで運営は非選抜メンバーをアンダーメンバーと名付け、アンダーメンバーによるライブを独立したビジネスに仕立て上げることを考え始める。

そこで誕生したのが”アンダーライブ”である。

20名以上の非選抜メンバーに、ライブをする機会を与えて、ガス抜きをして、モチベーションの維持を図る。

その中で少しでも、アンダーメンバーの運営コストが回収ができれば一石二鳥だ。

この試みによって運営は、乃木坂46をサステナブル(持続可能)なアイドルビジネスモデルとしてブラッシュアップしたのである。

しかし、これで乃木坂46が抱えている問題がすべて解消されたわけではない。

グループにとって、一番重要な”世代交代”が一向に上手く進まないのだ。

1期生のレベルが高過ぎて、それにとって代われるメンバーが育たない。

橋本奈々未や西野七瀬が去った後でも、乃木坂の中心メンバーは、相変わらず白石麻衣や、生田絵梨花、秋元真夏、齋藤飛鳥らの1期生である。

2期生のエース堀未央奈や北野日奈子、3期生の大園桃子・与田祐希・山下美月・久保史緒里、4期生の遠藤さくら・筒井あやめと、期待の次世代エースは多数いたのだが、なかなか”大化け”しないのが現実である。

特に2期と4期の停滞は深刻で、乃木坂偶数期不作説などと揶揄されている。

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欅坂46に選抜制導入は必要だったのか?

平手友梨奈以外は、低レベルだった欅坂46の1期生オーディション、運営は無理やり長濱ねるをねじ込み、すぐに追加メンバーオーディションを実施する羽目に

多人数のアイドルグループを長らく続けていれば、年長メンバーなどの卒業・離脱は避けられない。

さらにスキャンダルや体調不良はいつ起きるかわからないので、通常時からそれに備えて、ある一定数の人数の人材を確保しておく必要がある。

乃木坂46より遅れて発足した欅坂46は1期生合格者はわずか21名で、乃木坂1期生33名と比べると随分少なかった。

身も蓋もない言い方になるが、欅坂1期生オーディションの応募者のレベルは総じて低く、運営の期待を大きく下回ってしまったことが原因である。

その中でただ一人飛び抜けたSランクだったのが平手友梨奈だ。


平手友梨奈に興味をそそられた秋元康総合プロデューサーは、彼女に当て書きした楽曲”サイレントマジョリティ”を書きあげる。

そういう意味で、この楽曲は平手vsその他のメンバーという構図になっていて、有り体に言えば、平手友梨奈以外は誰でも良かった。

欅坂46のデビューシングル”サイレントマジョリティ”が、21名による全員選抜で始まったのにはそんな背景があった。

最終審査までに、平手友梨奈に次ぐ評価を得ていた長濱ねる。

母親の反対で長崎に戻ったものの、余りに落胆する長濱の様子に翻意した両親の願いと、長濱をどうしても欲しかった運営の思惑が一致して、最終審査を受けずにグループに参加させるという超法規的措置が取られたのである。

欅坂46の1期生21名のお披露目会見から3か月たった2015年11月に、長濱ねるのけやき坂46への加入が発表され、同時に同グループの追加メンバーの募集も告知された。

本来は、追加メンバーは欅坂46の2期生として募集するはずだったのだが、長濱の変則的な加入を誤魔化すためにあえてひらがな”けやき坂46”という別グループを作ってしまったので、2期生と呼ぶわけにはいかなかったのだ。

しかしこのことが、無用な誤解を生み、最終的に平手友梨奈の脱退に繋がっていくことになる。

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行き当たりばったりだった欅坂46の全員選抜と放置されたひらがなけやき

今野義男は、当初はひらがなけやきについて、欅坂46のアンダーグループのような役割を持っていて、そこで活躍が認められれば、欅坂46への移籍(昇格?)もあり得ると明言していた。

2016年5月、ひらがなけやき坂46の追加メンバー11名が決定して、長濱ねると合わせた12名での活動が始まる。

この時のけやき坂46の12名のメンバー全員が、いずれは認められて欅坂46に入れることを夢見ていたのである。

ところが、サイレントマジョリティのMVが公開されるや、センター平手友梨奈に対する凄まじい反響が巻き起こる。

あの目力の強い少女は誰?

山口百恵の再来か!

など運営の予想を遥かに超える反響が寄せられたのである。

この成功に気を良くした秋元康総合プロデューサーと運営は、すぐにグループ最年少センター平手友梨奈を欅坂のアイコンとして売り出すことを決める。

社会や大人たちに抵抗する若者たち、過去に何度も使い古されたテーマであったにもかかわらず、平手友梨奈というカリスマを得て、そのメッセージは観るものに突き刺さった。

圧倒的センター平手友梨奈の下に結集する無垢な少女たちというわかりやすい構図は、プロモーション映えするビジュアルであり、運営はこの路線に飛びついた。

2ndシングル、3rdシングルと右肩上がりに伸び続けるセールスは、4thシングル”不協和音”で80万枚を超えるビッグセールスを記録する。

しかし、その裏では、極限まで表現を突き詰めようとする平手友梨奈と他のメンバーとの温度差が広がり、その間に深い溝が生まれてしまう。

さらに平手が表現にのめり込むあまりに、しばしば体調を崩してしまい、スタッフもメンバーもその度に振り回されることになった。

スタッフは平手を腫れものにさわるように扱い始め、平手が”うん”と言わなければ何も始まらないような状況まで生まれた。

そうした風潮に違和感を覚えてるメンバーも何人かいて、メンバー間の信頼関係が揺らぎ始めていく。

さらに、欅坂46のアンダーグループとして誕生したはずのひらがな”けやき坂46”は、約1年間放置された状態が続いたのである。

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事前説明なしの選抜制導入に反発する平手友梨奈、幻となった5th選抜

そんな雰囲気に危機感を抱いた運営は、突如方針を転換して、5thシングルから欅坂21名による全員選抜を辞めて、欅坂46とひらがなけやき坂46から選んだ選抜メンバーを起用することを決める。

運営からすれば、欅坂結成当初から、乃木坂46のような選抜制導入を考えていたのだが、1期生の合格者があまりにも少なく、それが実現できなかったのだ。

それがひらがなけやきに11名の追加メンバーが加入したことで可能になったので、当初の方針に戻しただけの話である。

追加募集したひらがなけやき11名をアンダーグループに位置づけて、漢字・ひらがなをシャッフルした上で、選抜メンバーを組み全体のレベルを引き上げようとしたわけである。

そうしなければ、欅坂46は持続可能なグループにはなれないと考えていた。

これは、大人たちのこれまでの経験則から導かれたことで、運営にとっては疑う余地のない真理だと認識されていた。

ところが、運営はこのことについて、欅坂46のキーパーソンである平手友梨奈や他のメンバーにに対して、十分な事前説明をしなかったのである。

何故そうしなかったのかは謎だ。

メンバーのことを子供扱いして、大人の決めたことには無条件に従うだろうと、高を括っていたのかもしれない。

何も知らされないまま、SONY本社の1室に集められた欅坂46とけやき坂46のメンバーたち。

運営のトップである今野義男は、5thシングルで選抜制を導入し、18名の選抜メンバーで活動することを告げる。

欅坂46から13名、ひらがなけやきから5名の名前が呼ばれ、センターには5作連続となる平手友梨奈が指名された。

平手友梨奈が思い詰めたように口を開く。

『21人で欅坂なんです。選抜にするなら私はもうやりませ ん』

この当時平手は、メンバー間の信頼関係が揺らいでいることを敏感に感じていて、その責任の大半は自分にあると考えていた。

だから今野の話を聞かされて、21名の絆を壊してしまうような合同選抜制を認めるわけにはいかないと反射的に思ったのだ。

平手友梨奈にとって、大人の面子がつぶれることなどどうでもよいことで、メンバーの絆が崩壊することに比べれば些細なことであった。

その場では、合同選抜を拒否することが、ひらがなけやきを拒否することにつながることにまで考えが及ばなかった。

自分の主張が通らないとみるや、平手は、”秋元康総合プロデューサーに自分で言いに行く”と言い放つ。

こうなってしまえば、今野に勝ち目はない。

平手の直訴によって、5thシングルでの合同選抜メンバーは幻と消え、欅坂46の21人による全員選抜が継続した。

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悪化する平手の体調と続く人気メンバーの卒業、今野義雄は選抜制を強行して、平手友梨奈抜のいない欅坂46を決断する

5thから8thシングルまで運営は、平手友梨奈の気持を尊重して全員選抜を続けた。

その最大の理由はCDセールスが絶好調だったからである。

6thシングル”ガラスを割れ!”で初となるミリオンセールスを達成し、7th”アンビバレント”でも連続ミリオンを叩きだした。

今野も秋元康総合プロデューサーもその原動力が平手友梨奈の生命を削るようなパフォーマンスにあると考えていた。

だから今野ら現場スタッフは、平手を壊れ物のように扱い、そのご機嫌をそこねないように細心の注意を払い続けた。

他方、2期生9名が加わったひらがなけやきの将来性に目をつけた今野は、ひらがなけやきを改名して、新たなグループとしてメジャーデビューさせ、3番目の坂道グループとして売り出すことを決める。

欅坂46については、将来の選抜制導入を見据えて、坂道合同オーディションに合格したメンバーの中から、即戦力になりそうな9名を欅坂の2期生として加入させようと考えていた。

そんな中、平手の体調はますます不安定になり、現場の空気は悪化の度を増していく。

メンバー間にも苛立ちや疲労の色が見え始め、そんな雰囲気に耐えられなくなった今泉佑唯や長濱ねるがグループを去ってしまう。

時間をかけて平手を説得し、選抜制の導入を納得させようとしてきた今野だったが、人気メンバーの卒業が相次いだことに危機感を募らせ、平手の反対を押し切ってでも、9thシングルでの選抜制を導入することを決意する。

そうしなければ、ビジネスとして欅坂46を続けていくことはできないと判断したからである。

2019年9月、今野は”欅って書けない?”の放送で9thシングルでの選抜メンバー17名の発表を強行する。

選抜制の導入は既定路線だと内外に宣言したのである。

当然のことながら、今回の発表にあたっては秋元康総合プロデューサーへの根回しも済ませていた。

平手がいくら反対しても、今回は退くつもりはなかった。

しかし、発表はしたものの、実際の9thシングルの制作は何度も暗礁に乗りあげた。

当時、欅坂46の内部は混乱を極めていて、一度撮り終わった9thシングルが平手らの反対でお蔵入りになってしまったこともあった。

外部発表する前の段階では選抜メンバーに入っていた鈴本美愉は、最期まで選抜制に反対して選抜入りを拒否して、海外に逃亡してしまった。

卒業も辞さない覚悟の行動であった。

小池美波も選抜制に反対し続けて、9th選抜の外部発表メンバーから外されてしまった。

そんな状況の中で、平手友梨奈はセンターに立ち続けることなどできないと感じ、再三にわたってグループを離脱したいと申し入れる。

しかし欅坂46をビッグビジネスとして成功させているのは平手友梨奈の圧倒的な才能と存在感であると考えている今野は、平手の離脱を簡単に認める訳にはいかなかった。

ギリギリの攻防が、長期間続いたが、結局両者は折り合わず、平手友梨奈は欅坂46を去ることを決める。

一度外部に発表した選抜メンバーのセンターが突然グループの脱退を発表するなど、前代未聞であり、欅坂46は大幅なイメージダウンに見舞われることはわかっていたが、もう体裁を取り繕うことすらできないほど、追い詰められていたのだ。

体裁など構っていられない、ギリギリの攻防だったのである。

今野義男は平手友梨奈抜きで欅坂46というビジネスを続けていくことを選択した。

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選抜制の導入は欅坂46に本当に必要だったのか?欅坂46と日向坂46はどこが違うのか?

これまでの4年間で、欅坂46は年間50億を売り上げるビッグビジネスにまで成長を遂げた。

平手友梨奈という才能にインスパイアされた秋元康総合プロデューサーが楽曲を提供し、それにコレオグラファーTAKAHIROが平手を最大限に活かす振り付けを施し、平手友梨奈が生命を削るような、魂のパフォーマンスで現実のものとする。

そんな見事なトライアングルが大きな感動を生み、ビッグビジネスとしての成功につながったのである。

平手友梨奈が抜けてしまった欅坂46の未来は厳しい。

誰がセンターに立っても平手友梨奈と比較される運命が待っている。

新たにリリースされる9thシングルのセールスが、平手ロスでどれほどのダメージをうけるのか注目されるところである。

ここで改めて考えてみたいのは、欅坂46に選抜制の導入は本当に必要だったのかということだ。

今野が欅坂46結成当初から危惧していたのが、平手友梨奈以外の欅坂46のメンバーの戦闘力の低さである。

踊れるメンバーは数人で、しかも不人気メンバーが多い。

最も歌えるメンバーだった今泉はグループを去った。

ビジュアルメンの代表である長濱ねるもいなくなった。

バラエティやクイズ番組で爪痕を残せるメンバーもいない。

乃木坂46の1期生と比べてみれば一目瞭然で、アイドルグループとしてのレベルには相当の差があると今野は見ていた。

欅坂46は、乃木坂46のようなアイドルグループではなく、パフォーマンスに特化したアーティスト集団だという反論もあるだろう。

だがそのアーティスト面を支えているのは平手友梨奈ただ一人。

平手がいなければ、他のアイドルグループとほとんど違いはない。

平手友梨奈は現在18歳。

今の路線もそう長くは続けられないし、なにより平手の精神状態がもう限界にきている。

否が応でも、ポスト平手友梨奈を考えなければならない時期がもうすぐそこまで迫っているのだ。

その打開策として、グループ内に競争原理を導入してメンバーの活性化を図る。

これはもっともオーソドックスな方法であり、グループ再生への近道なのだ。

平手友梨奈が抜けてしまうとしても、欅坂46の未来を考えると選抜制の導入を成し遂げなくてはならない。

今野はそう覚悟を決めたのだ。

しかし出口のないトンネルに迷い込んでしまった平手友梨奈や鈴本は、それを受け入れることができなかった。

様々な要素が複雑に絡みあってしまったことで生まれた悲劇である。

日向坂46が全員選抜を続けられるのは、個々のメンバーのポテンシャルが髙いから


欅坂46から独立してメジャーデビューを果たした日向坂46。

秋元グループの中で唯一全員選抜を続けているグループである。

4thシングルまでセンターを固定していて、全員選抜が続いているという意味では、日向坂は欅坂と同じ道を歩んでいるように見える。

だがその内実は随分違っている。

第一に、日向坂メンバー全体のアイドルとしてのポテンシャルが、欅坂の1期生に比べて相当高い。

アイドルとしてのアグレッシブさでも、歌やダンススキルでもかなり差がある。

身体能力に恵まれ、アスリート体質のメンバーも多い。

日向坂1期生は温厚だが、肩を寄せ合って希望が見えない時期を耐えてきた芯の強さを持っている。

明るくて、上昇志向が強い2期生は、最初こそばちばちと火花を散らしていたが、すぐに打ち解けて仲間になった。

それまで内側に籠っていた1期生たちは、元気な2期生に刺激を受けて、積極さを取り戻し、これまで以上に輝くようになる。

日向坂46は、2期生の加入で1期生が輝きだすという奇跡のような展開を見せた珍しいグループなのだ。

そういう意味で日向坂46は、今最も幸福な時期を過ごしている。

だから、運営は今の日向坂の体制をできるだけ長く引っ張ろうと考えている。

2020年2月11日現在、乃木坂46が43人、欅坂46が23人、日向坂46は20人(休養中のメンバーを含む)という体制だが、まだ配属されていない坂道研修生15名が配属を待っている。

欅坂46には、最も多くの研修生が配属され、アンダーグループが強化されるはずだ。

選抜制を有効に機能させるには、アンダーグループの充実は必須条件である。

1期生のレベルに問題がある欅坂46は、坂道研修生を大量に加入させ、その中から優秀な人材を育てて、選抜メンバーにしていくしかないだろう。

そういう意味で、欅坂46への選抜制の導入は避けられないところである。

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選抜制を導入せず、アンダーグループも作らずにアイドルグループを続ける方法

選抜制を導入せず、アンダーグループも作らずにアイドルグループを続ける方法はあるにはある。

一人がグループを卒業したら、一人を補充するというシンプルな方法論である。

一見簡単そうに見えるこの方法が実は一番難しい。

補充するメンバーには、卒業するメンバーと同等か、それ以上の資質が求められるからだ。

それを実現するには、相当な相馬眼を持つプロデューサーと優秀なトレーナーの存在が必須条件である。

鋭い相馬眼を持ったプロデューサーが将来性が見込める人材を発掘し、それを優秀なトレーナーが鍛える。

これを繰り返すことができれば、コストがかかる多人数のアンダーグループを抱え込む必要はない。

それでも乃木坂46がアンダーグループ制を維持しているのは、その方がメンバーの質を維持しやすいからである。

一人の選抜メンバー枠を複数のアンダーメンバーに競わせて、相対的に優秀なメンバーを選ぶ方式の方が良いメンバーを確保できる確率が高いのだ。

結局欅坂46もこの方式を採用することになってしまった。

筆者は個人的には、日向坂46には選抜制を導入せず、1対1でのメンバー補充でグループを続けてほしいと願っている。

そうすれば日向坂46の幸福な時間がずっと続いていけるからである。

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