中西アルノ起用で限界突破を図ったはずだった29thシングル”Actually…”は、齋藤飛鳥・山下美月に替わって予定調和の楽曲に収まってしまった
乃木坂46の新たな未来を拓くはずだった29thシングル”Actually…”のセンターにサプライズ抜擢された五期生の中西アルノ。
それを快く思わない保守的な乃木坂ファンが、中西アルノの過去のSNSの発言や暴言を掘り起こして、ネット上に晒し上げてしまう。
それが拡散され、ついには文春の記事にとりあげられ、運営もスルーを続けることが難しくなり、とうとう中西アルノの活動自粛を発表するまでに追い込まれてしまった。
29thシングルのリリース(3月23日)が近づく中、3月5日のNHKシブヤノオトで、中西アルノ不在の”Actually…”を披露することとなった。
二人のWセンター起用で、楽曲の印象はガラッと変わった。
中西アルノVer.では、繊細さと力強さが入り混じる印象的なアルノの声が楽曲全体を支配していて、宗教的とさえ感じられる独特な個性を楽曲に与えていた。
それが齋藤飛鳥と山下美月の声と入れ替わったとたんに、乃木坂46の聴き慣れた楽曲に聞こえてくるのだ。
齋藤飛鳥・山下美月の”Actually…”は、明らかにこれまでの乃木坂46の楽曲の振り幅に収まっている。
この結果を良しとするか、新しい可能性を失ったことを惜しむかは議論の分かれるところだろう。
(当ブログの管理人は中西アルノの才能を惜しむ立場である)
Wセンターでパフォーマンスはどう変わったのか?
中西アルノに代わるセンターには、当初のフォーメーションのフロントでアルノの両脇を固めていた齋藤飛鳥と山下美月の2人がWセンターを努めた。
2人が急な変更を微塵も感じさせずに、センターを務めあげたのは立派だった。
音源は、すでに録音したものから中西アルノのトラックだけを消し、アルノのソロパート(冒頭部など)は、新たに録音された齋藤飛鳥と山下美月の声と差し替えられていた。
振り付けについては、当初のものを最大限に活かしながら、アルノをフィーチャーしたパートについては、歌声と同様に齋藤飛鳥と山下美月の2人を同程度にフィーチャーする形に差し替えられた。
アルノVer.では、全体を通してセンターにフォーカスしていたが、齋藤・山下Ver.では全員で見せるパフォーナンスにシフトしていた,
フリ入れは、シブヤノオトの生放送当日でメンバーは大変だったようだ。
カメラ割りでも中西アルノではセンターに寄ったワンショット風の画が多かったが、Wセンターに変わったために、”引き”の画が多くなり、センター以外のメンバーが視認できるカットも多くなっていた。
29thで初選抜となった柴田柚菜にとっては嬉しい変更だったろう。
”シブヤノオト”は23時台の生番組なので選抜メンバーの筒井あやめは欠席で、中西アルノとの二人分の代打には、佐藤楓と金川紗耶が入った。
この二人は、28thでも代打要員として多く起用されていた。
MVの撮り直し・CDの再製作
”Actually…”のリリースは、3月23日に予定されていたので、MVは完成しているはずで、CDのプレスもほぼ終わっている時期だろう。
だが、活動をしていないセンターをフィーチャーしたMVを世に出すわけにはいかないと考えるのが普通である。
急遽MVを作り直すことになるのだろう。
さらにCDに収められる”Actually…”の音源も中西アルノ!Ver.から齋藤飛鳥・山下美月Ver.に差し替える必要がある。
カップリング曲についても、中西アルノ参加作品について、アルノをフィーチャーして制作したものはそのまま出すわけにもいかない。
これも作り直すことになるかもしれない。
もろもろの状況を考えると3月23日の29thシングルリリースは延期となる可能性が高い。
スタッフの苦労がしのばれる。
齋藤飛鳥・山下美月Wセンター版”Actually…”MV公開の裏で、一般公開されなくなってしまった黒沢清監督が手掛けた中西アルノVer.”Actually…”MV
29thシングル”Actually…”リリースのわずか3日前の2022年3月20日、再製作された齋藤飛鳥・山下美月WセンターVer.の”Actually…”のMVがようやく完成をみて公開された。
齋藤飛鳥・山下美月WセンターVer,の”Actually…”のMVはこちらで
監督は、東市篤憲。
20th選抜メンバー18名から中西アルノが抜け、残りの17名が参加するMVとなっている。
急遽行われた新MVの撮影は、西新宿の住友ビル三角広場でロケが行われた。
全編ダンスシーンの潔い構成になっていて、従来の乃木坂46らしさが存分に活かされている。
梅澤美波によれば、この日のケータリングはレトルトカレーだったそうで、中西アルノVer.MVで予算を使い果たした結果だろうとネットで話題になった。
リリースされる29thシングルのCDに収録されているのは、中西アルノVer.の”Actually…”である。
こちらのMVは、日本映画界の巨匠黒沢清が監督を努めている。
▼黒沢清監督作品の主な受賞歴
2001年、『回路』が第54回カンヌ国際映画祭のある視点部門、国際映画批評家連盟賞を受賞。
2008年、『トウキョウソナタ』が第61回カンヌ国際映画祭「ある視点部門」審査員賞、第3回アジア・フィルム・アワード作品賞を受賞。
2015年、浅野忠信・深津絵里主演の『岸辺の旅』が第68回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門監督賞を受賞。
2020年(令和2年)、『スパイの妻〈劇場版〉』が第77回ヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞(監督賞)を受賞。
残念ながら黒沢清が監督した中西アルノVer.の”Actually…”は、一般公開されない。
中西アルノの復帰について
ネット上で、中西アルノの復帰についてアンケートを取ってみると、かなり意見が割れているのがわかる。
緊急アンケート#乃木坂46 #岡本姫奈 自粛で、#中西アルノ の復帰の時期は?
— 平進 (@susumutaira2009) March 20, 2022
中西アルノの活動自粛によるビジネス面への影響はかなり大きく、おそらく1~2千万円のコスト増となるだろう。
短期間での作品の作り直しでは、各部門のスタッフに大きな負荷がかかってくる。
それを目の当たりにする中西アルノの心情は察するにあまりある。
おそらく中西アルノは、乃木坂46を辞めたいと言っているだろう。
ただSONYも中西アルノひとりに責任をかぶせて、脱退に追い込んだという印象を世間に与えたくはない。
しばらく事態の鎮静化を待って、本人の強い申し出により、乃木坂46を卒業することになった とするのが既定路線だ。
その後も引き続きSONYがアルノの身柄を預かり、未来のソロデビューを目指すという展開もアリだ。
センターが不祥事で活動自粛という異常事態に見舞われた乃木坂46。
このセンター変更は、事態の鎮静化にはきっと有効に働くだろうが、それが乃木赤46の未来にとって良いことなのか、悪いことなのか、すぐに結論は出ないだろう。
だが、中西アルノにはこれまでの乃木坂メンバーにはない才能のきらめきがあった。
乃木坂46は惜しい人材を失ってしまったかもしれない。



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