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宮迫博之の契約を解除して、自らの責任を取らない吉本興業の幹部たち

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記者会見も開かず宮迫博之氏のマネジメント契約を解除した吉本興業

2019年7月19日、吉本興業は、マスコミ各社に対してファックスで、闇営業で反社会的勢力と関わったとして6月24日から謹慎処分中だった雨上がり決死隊宮迫博之氏とのマネジメント契約を解除したことを発表した。

同様の内容が吉本興業の公式サイトにも掲載されている。

宮迫博之(雨上がり決死隊)、マネジメント契約解消のご報告
2019年7月19日

弊社所属の宮迫博之(雨上がり決死隊)について、本日 7 月 19 日(金)付で、マネジメント契約を解消しましたので報告いたします。

宮迫博之は、既に報道されている反社会的勢力の主催する会合に出席していた件により謹慎中でしたが、弊社といたしましては、諸般の事情を考慮し、今後の宮迫博之とのマネジメントの継続に重大な支障が生じたと判断し、上記決定に至りました。

多くのファンのみなさま、関係各位に多大なるご迷惑ご心配をお掛けしておりますことを重ね重ね深くお詫び申し上げます。

宮迫氏の釈明内容が二転三転して、ファンからの信頼を失ってしまったこととで、早期復帰が難しくなった上に、7月19日発売の写真誌FRIDAYで、16年7月に福岡で起きた7億6000万円相当の金塊強奪事件の主犯格とされる男らのグループと、事件の3週間後に酒席をともにし、金銭を受け取った「ギャラ飲み」疑惑を報じられたことが契約解除の決定打となってしまった。

宮迫氏のコンプライアンスへの意識の低さが、高々数百万円の闇営業で、年間数千万円から億とも言われる芸人や俳優としてのキャリアを棒に振るという過酷な結果を招いてしまった。

厳しいようだが、宮迫氏は自業自得である。

ただ宮迫氏の家族にまでバッシングの目が向けられるのは、何とか回避してもらいたい。

所属タレントやその家族の生活を守るのは、所属事務所の仕事だが、旧弊たる企業体質の吉本興業には1ミリも期待できないだろう。

本来なら記者会見を開いて事情を説明すべきだし、そこで事務所の責任についても言及すべきである。

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大崎会長インタビューから見える、芸人蔑視の企業体質

今回の闇営業に関して、吉本興業の大崎会長がマスコミ各社のインタビューに答えている。

その発言の端々に、自社の大切な資源であるはずの所属芸人への敬意を欠く発言が見受けられる。

インタビューの一問一答を振り返りながら検証してみる。

Q:反社会的勢力との関係を断ち切れなかった。

大崎会長:重大に受け止め、反省している。忸怩たる思いだ。弱い人をだましてお金を取るなんてあり得ない。(会合に参加した芸人は)大ばか野郎です。申し訳ない。

弱い人(売れていない若手芸人)からもお金を毟り取っているのは吉本興業も同じである。

Q:芸人と契約書を交わしていないとの指摘があるが‥。

大崎会長:タレントと事務所の契約は書面または口頭で交わす場合があり、吉本は口頭でしている。契約関係は法律上成立している。

所属芸人の一人であるハリセンボンの春菜さんは、7月15日、自身がレギュラー出演しているNTVのワイドショー”スッキリ”で、

口頭だったとしても、芸人も納得してお互い同意しないと契約って結ばれないと思うんですよね。私は吉本から口頭でも聞いた覚えはない。
会長のおっしゃっていることと芸人の間での相違がすごくて、これで納得している芸人っていないと思います。

とその口頭契約に同意した覚えはないと明言している。

Q:芸人の数に比べ、マネジメントする社員が少ないと言われる。

大崎会長:就職口がない、行き場がないけどお笑いが好きという子たちに、吉本のドアをノックしてくれたなら一緒に頑張ろうという姿勢でいる。来るなとは言いたくない。

実態は、自社のグループ企業であるNSCの卒業生の受け皿として劇場運営をして、そこに彼らを出演させているだけである。
若手の劇場出演のギャラは1日250円で、交通費にも足りないケースまであるのだ。

Q:収入の不安定さが闇営業の背景では‥。

大崎会長:芸人が「取り分は会社に9、本人は1」と発言したりしているが、笑いのネタとして言っていると理解している。実際にはあり得ない。ただ、芸は何十年かかって苦労を積み重ねてつくるものだ。見習い期間に本職で食べられないなら居酒屋でアルバイトするのは普通。デビューしたばかりの子に給料25万円を払うのが芸人への愛情としていいのか。金を払わないから、そういうこと(闇営業)をするんだというのは間違っている。

ギャラの取り分の比率について、大崎氏は”ありえない”と一蹴したが、2014年11月の日本テレビ”ナカイの窓”で、ピースの綾部祐二が
”我々吉本は(ギャラの配分が)1:9ですから、10万円の仕事したら、1万円が僕らで、9万円が会社なんですよ。源泉徴収でさらに差し引かれるため、コンビで仕事をこなした場合、1人当たりわずか4,500円しか手元に残らない。”
と暴露して他の出演者を驚愕させている。
2013年に別の番組でも、ママタレント千秋は元夫であるココリコの遠藤章造の給料明細を見て、「吉本って本当にギャラを9割取るんだなと思った」といい、これに、品川庄司の庄司智春を夫に持つ藤本美貴も「本当にそう」と同調している。

Q:反社会勢力に対する対策は。

大崎会長:社内弁護士らとコンプライアンス(法令順守)に関する小冊子を作り、説明してきた。(芸人が)相談できる24時間体制の社内”ホットライン”の整備や、警察による講習もやってきたが、この結果だ。道半ばなので精度を高め、もちろん新しいやり方、落ち度や本当の原因はどこにあったのかということも話し合いながら、やり遂げるまで続ける。

生活費を稼ぐための闇営業をせざるをえない状況に所属芸人を追いやっている現実と、それを事実上黙認してきた吉本興業のダブルスタンダードが今回の騒動の真の原因である。
それから目をそらして、制度のみををいくら積み重ねても虚しいだけだ。

Q:問題発覚後の対応は適切だったか。

大崎会長:(受け取った報酬については)既に納税を済ませ、消費者団体に寄付した。今後、(特殊詐欺の)被害者に対し、どういうお返しができるかも具体的に考える。

これは評価できる前進と言える。

Q:謹慎中の芸人の復帰など今後の処遇は。

大崎会長:ボランティアなど、一番お役に立てるのはどれか考えている。反省した上で行動が必要なので、(謹慎)期間は決められない。

これも多少の前進である。

Q:自身も含めた役員の進退について。

大崎会長:業務上の問題点があれば進退に関わるかもしれないが、今回は業務上ではない。(対策を)粘り強くやり続けることが最良の方法だと思う

今回の事件では、吉本興業の旧態依然のビジネスモデルがその本質で、まさに業務の根幹に関わる事件である。
芸人の私生活上の問題ではない。
これを業務上の問題ではないとする感覚は普通ではない。
自らの経営責任から逃げていると言わざるを得ない。

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大崎洋会長が受け継ぐ林正之助氏のDNA~”社員は虫けら、芸人は乞食”なのか?~

このインタビューにおける大崎氏の回答に一貫して感じられるのは、自社の財産であるはずの芸人に対する敬意の欠如だ。

芸人には教養もなく、知性もない、自分たちより一段低い存在だという傲(おご)りである。

大崎会長の発言に公然と反旗を翻した春菜さんの”男気?”には拍手を送りたいが、大崎氏からの報復が心配でもある。

吉本興業の”中興の祖”とされる故林正之助氏の口癖は、”社員は虫けら、芸人は乞食”であったという。

故林氏の系譜に連なる大崎洋会長には、林氏のDNAが脈々として受け継がれているように思える。

大崎氏がその”傲(おご)り”に気付かなければ、この問題の根本的な解決はいつまでたっても実現できないであろう。

株式非上場化で、反社会的勢力との繋がりは絶ったと言う大崎会長だが、自身の考え方の中に彼らと類似した思想があることを恥じなければならない。

ベテラン芸人のたむらけんじ氏は、労働組合の設立に言及しているようだが、簡単には実現しないだろう。

手本にすべきは、アメリカのショービジネス界での、事務所とタレントの契約関係だろう。

会社側が優位な力関係を背景に、契約書を明文化せず、口頭のみで有利な契約関係を強要しているならば、独占禁止法に抵触する可能性がある。

SMAP問題と同様に、これを公正取引委員会に申し立て、実態調査を行わせるという方法も考えるべきである。

生活に余裕がある明石家さんま氏や松本人志氏らが資金を出して基金を作り、専門家や弁護士を雇い、それらの調査・研究をし、今の吉本興業の不平等な契約状況を明らかにし、その改善を求めていく活動を始めるべきだ。

調査内容や、交渉の経過をできる限り世間やマスコミに公表すれば、世論を味方につけることもできる。

現経営陣がどれだけ傲慢であるかを世間に知らしめることにもつながる。

売れている先輩芸人たちには是非それをやって欲しいと思う。

今のままでは、6,000人の所属タレントも、宮迫氏も浮かばれない。

吉本興業の2,000字に及ぶ”決意表明”に漂う無力感の正体
人気収入共にトップクラスの宮迫博之氏までが闇営業にかかわっていた衝撃の大きさ 自社に所属する13人ものお笑い芸人に謹慎処分(4人は無期限謹慎)を下したお笑い界の巨人”吉本興業”が、2019年6月27日、公式HP上に2,000字を超える長文の...

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