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乃木坂46らしさとは桜井玲香そのもの~卒業を発表した桜井玲香の冷静と情熱の間~

アイドル

乃木坂46のキャプテン桜井玲香が2019年9月1日の乃木坂46 真夏の全国ツアー2019東京・明治神宮野球場公演最終日をもってグループから卒業することを発表した。

桜井は1994年5月16日生まれの25歳(2019年7月現在)で、グループでは新内眞衣(27歳)、白石麻衣(26歳)、秋元真夏(25歳)、高山一実(25歳)につぐ5番目の年長メンバーである。

36人でスタートした乃木坂46の1期生では25人目の卒業となった。

幼稚園でお受験するようなリッチな家庭で、一人っ子として生まれ、両親に大切に守られながら育った桜井玲香が、いかにして乃木坂46というトップアイドルグループの名キャプテンと呼ばれるようになったのか、彼女の成長の軌跡を辿ってみたい。

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桜井玲香が乃木坂46に入るまで

桜井玲香、神奈川県横浜市出身(出生地は母の実家がある函館)、1994年5月16日生まれの25歳。(2019年7月現在)

最も小さいころの記憶は、幼稚園の面接の練習だという。

身長156㎝、身体能力が高く、50mを7秒88(1期生36人の中で最速)で走る。

両親に言われるまま、幼稚園のお受験の予備校に通い、見事私立の名門神奈川県川崎市にあるカリタス学園幼稚園に合格した。

2019年5月28日に起こった小学児童18名無差別殺傷事件の被害者たちは桜井の後輩である。

自宅にクラスメートを招いてお誕生日会を盛大にやったり、お店を借り切って催すような裕福な家庭ばかりの学校であった。

おとなしい子供だったが、目立ちたがりの面もあり、密かに芸能界に憧れを抱いていた。

実家から1時間半かかる幼稚園への通学にはいつも母が付き添ってくれたが、小学校に入ってからは一人で通った。

寡黙な父親と社交的でおしゃべり好きな母で、玲香はどちらかといえば父親似で、家では玲香と父親が聞き役であった。

小学校から中学3年までピアノを習っていた。

親には反対されたが、どうしてもやりたいと言って、ヒップホップとジャズダンスを1年間だけ習った。

乃木坂1期生の中でも、歌とダンスは得意な方である。

小学校時代は、ソフトバレーボール部やダンス部、手話ボランティア部などに入っていたが、中学に進んでからはもっぱら帰宅部であった。

カリタス中学校には、外部の公立小学校からの入学者が半分いて、その子たちとの感覚があまりに違いすぎて、驚くと同時に少し怖かったと語っている。

しかしそれがいわゆる世間の常識なんだと気づいてしまい、今の守られている環境を飛び出したいと思うようになっていく。

2011年8月、高校2年の時乃木坂46のオーディションに応募した。

元々合格できるとも思っていなかったので、オーディションに応募することは、両親にも、いつも一緒に行動していた親友2人にも言わなかった。

図らずも合格してしまい、黙って応募したことは両親から叱られたが、すぐに応援するといってもらえた。

親友からは、”あんたがアイドル?”と笑われてしまった。

自分はアイドルというタイプでもなく、アイドルになりたいとも思ってはいなかったが、好きなダンスと歌を職業にできるなんて最高だと思ったのでオーディションに応募したのだ。

芸能界へのきっかけになればいいぐらいの軽い気持ちであった。

乃木坂46加入当時は、人見知りが激しくて、ほかのメンバーになかなか話かけられず、一人でいることが多かった。

そのころ一番大事だと言われていた”自己紹介”も苦手だった。

それでもすぐに冠番組”乃木坂ってどこ?”が始まったり、週刊プレイボーイで乃木坂46が大々的に取り上げられたりして、こういう世界に入りたかったんだよなと思い、毎日が楽しかった。

乃木坂46がそれまでのアイドルグループと違い、清楚なイメージが売りで、水着のグラビアなどがなかったことも玲香にとっては幸いであった。

グループ結成後しばらくして、運営委員長の今野義男から、グループのキャプテン就任を打診される。

自分は、他人をまとめて、引っ張っていくタイプではないと思っていたので、”キャプテンはできません”と2度断った。

3度目に根負けして、”そこまで言われるならやってみます。”と引き受けたのだった。

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乃木坂46にポンコツキャプテンが誕生!

デビューシングル「ぐるぐるカーテン」のリリース直前の2012年2月、”乃木坂ってどこ?”の放送中で、桜井玲香は乃木坂46の暫定キャプテンに指名された。


最年長でも、率先して周りを引っ張る性格でもない自分が、いきなりキャプテンに指名されてしまった。

その時の不安な気持ちが公式ブログに綴られている。

「キャプテン」って、つくるモノじゃなくて、自然とグループ内で確立して いくモノだと思うんです。
一緒に沢山の時間を共有することで、自然と生まれる「チームワーク」があ り、気づいたらチームをまとめる人間がいて「キャプテン」という役職が当 てられる。
そういった自然な流れの中で生まれるモノを無理矢理決めてしまう事に少し 不安があります。
チームがまとまるのか不安。
何か言って、メンバーにどう思われるのか?と考えるだけで不安。
嫌われるんじゃないか不安。

2012年2月7日桜井玲香公式ブログから抜粋)

この日のブログでは、AKB48グループの初代総監督高橋みなみのようなキャプテンのようにはなれないが、自分が目指すキャプテン像は持っているとも語っている。

嫌々ながらキャプテンを引受けたが、引き受けたからにはやり遂げたいというプライドが垣間見える。

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桜井玲香が乃木坂46のキャプテンに指名された理由

2012年6月3rdシングル「走れ!Bicycle」で桜井玲香は、正式に乃木坂46の初代キャプテンとなった。

そしてその瞬間から、AKBグループ総監督の高橋みなみのような引っ張るリーダータイプと、自らのタイプとの違いに悩むようになる。

当時のインタビューで

自分の性格と役職が噛み合わないことですかね(笑)。けっこうゆるい性格なので、そこを指摘されてしまうと困ってしまって。

とその悩みを語っている。

桜井玲香といえば、ポンコツ。

新曲初披露の時にタイトルを間違える、ラジオで番宣を忘れる、言い間違いをする、ボーっとしていて気づけば1人取り残される、どこでもすぐに寝てしまう、全国ツアー中に新幹線のチケットを2度も失くす、などなどポンコツエピソードは枚挙にいとまがない。

その甘い声のトーンや、ヘラヘラとした感じ、メンバーからイジられるキャラであることから、キャプテンとしての威厳に欠けると言われることもあった。

ヘタレのポンコツである自分はキャプテンとして相応しくないのではないか。

そんな葛藤を通じて、桜井は、独自のキャプテン像、自分らしいキャプテン像というものを築き上げていくことになるのである。

最初は、やっぱり悩みましたね。キャプテンっていうと、たかみなさんのイメージが世間的にも強いので、そういう風にならなきゃいけないのかなって思っていて。でも、私はとてもそういうキャラではないので、どうしたらいいのか本当にわかりませんでしたから(雑誌CD&DLでーた2014年9・10月号桜井玲香インタビューより)

NOGIBINGO!5の最終回で、桜井は母親からこんな手紙をもらっている。

今の玲香を見てあなたはキャプテンという役目があるけれども、それがやはりすごく簡単な事ではないのね。
“引っ張っていくキャプテン”というのは玲香の性格上、絶対無理だというのは、わかってる。
4年間通してすごくキャプテンのあり方について悩んで、一緒に泣いた事もいっぱいあったけれども、でも今4年間通して玲香が築き上げているキャプテン像っていうのは、あなたならではの独自のキャプテンだから私は素晴らしいと思うし、本当に強くなったなっていうのは感じてる。

一人っ子である桜井と母親は、親子の断絶とは無縁な、なんでも話し合えて、相談できる親友のような関係であった。

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ずっと悩んだ結果、桜井は、自分の性格や能力、そして乃木坂46というグループの色を見て、引っ張るタイプのキャプテンではなく、独自のキャプテン像を作ることを選択する。

そもそも、なぜ運営は桜井玲香を暫定キャプテンに任命したのだろうか。

運営は桜井玲香をどのようにとらえていたのか。

その答えについて、乃木坂46運営委員会委員長の今野義雄は、映画「悲しみの忘れ方」コンプリートboxの付録ブックレットの中で、桜井と対談し、こんな風に語っている。

僕はね、【乃木坂46らしさ=桜井玲香】だなとも思っていたりするんだよ(笑)。

今野の中では、文化系で、おしとやか。清楚で品があって、礼儀正しい。謙虚で、物静か。そうした乃木坂46のイメージは、桜井玲香自身のイメージと重なっていたのだ。

対談の中で、なんとなく桜井の雰囲気が乃木坂の雰囲気づくりのきっかけになったと今野は言っている。

桜井が第一声でしゃべってくれると、その空気感が乃木坂らしさをつくる。だから、自信をもってやってくれって初めの頃に言ってもらえたと桜井も語っている。

乃木坂46の象徴、桜井玲香。その雰囲気が、その言葉が乃木坂らしさを作る。

その存在そのものが、行動が、乃木坂らしさを形成する。

そうした運営の期待を背に、桜井が辿り着いたのは、調整型のキャプテンという道であった。

結局いないんですよね、たかみなさんみたいなタイプが乃木坂には(笑)。でも、たかみなさんがキャプテンだと、乃木坂の雰囲気には合わない気がする。引っ張っていく子も大事だけど、それ以上に、それぞれが思っていることを否定せずに聞いてくれる人が乃木坂の場合は必要だと思うんです。(雑誌CD&DLでーた2014年9・10月号桜井玲香インタビューより)

この発言の裏には、桜井の柔らかな外見や性格からは見えない、強烈なプライドが潜んでいる。

柔らかな外見や、おっとりした話し方をいい意味で裏切るように、キャプテンモードに入った桜井玲香は、冷静にグループやメンバーを観察していて、グループの現状を正しく把握し、乃木坂46のために、仲間のために行動できるのだ。

桜井は賢くて、器の大きい優しい人間だからこそ、時に己の無力を認め、仲間を頼ることができるのである。

最近は人それぞれに得意分野みたいなのがあるんだなってわかるようになってきたんですね。
(中略)AKBのリハーサルの雰囲気や本番前の準備の過程は本当に厳しいらしくて、『乃木坂ももっと見習わなきゃダメだ!』って(中略)。
それは本来は私が言わなきゃいけないことなんでしょうけど、やっぱり実際に外で見てきて経験してないと気づけないことじゃないですか?
そういう意味では、乃木坂以外を知らない私が言うより生駒が言ったほうが説得力があってメンバーに響くんじゃないかなって思ったんです。
(中略)それに最近は、これもやったほうが良いねってことでライブ前に発声練習を積極的にやるようになったんですけど、その音頭を取ってくれる子も、また別にいるんですよ。
そうやって、みんながそれぞれの得意なことに対して、じゃあ、私これやる!って行動してくれるので、それなら任せたほうがスムーズにいくかなって思ってるんです」
それぞれがいろんな意見を言うようになってきたんですよ。
それは良いことなんですけど、その代わり、きっと衝突することも出てくるはず。
それをうまくまとめられる役割を私ができれば良いなって思ってます。
メンバーが安心して自分の思いを伝えられる空気感をつくっていく。
私はそれに専念するのが良いのかなって思ってますね」
やっぱりみんなの意見を聞いていると、私が気づかなかった部分に気づいていたり、全然違う視点からの捉え方をしている子がたくさんいるんですね。
だったら、私が一人で『こうだから!』って言うんじゃなく、みんなに言ってもらったほうが良い気がする。
そして、それを聞きつつ、なんとなく最終的に私がまとめる方向にもっていったほうが、メンバーの個性も死ななくて良いのかなって思うんですよ。
私自身もキャリアが浅すぎて、アドバイスをしてあげられるような立場じゃないんですよ。みんなと同じ経験しかしてないから一緒に悩んじゃう。
だから、今の私ができるキャプテンとしての唯一の仕事は、みんなの意見を聞いて、メンバーの総意をスタッフさんに伝えることと、雰囲気を良くしようって思うことくらいなんです。
私は選抜に入っていて、しかもキャプテンなのに、まだまだ気づかないことが多いんですよ。
周りから、ここはこうすべきなんじゃない?って指摘されて、初めて、確かに!って思ったりする。
本当に経験値が足りないんだなって思います。(雑誌CD&DLでーた2014年9・10月号桜井玲香インタビューより)

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今野は、そんな桜井の様子を見て、桜井を乃木坂46のキャプテンに指名したことは正解であったと感じていた。

キャプテンとして桜井は桜井でちゃんと動いていたよ。
それが桜井の理想のキャプテン像じゃないのかな。
今年の桜井は輝いて見えたよ。落ち込んでいたメンバーをフォローしていた姿だってちゃんと見ていたよ。(今野の発言より)

メンバーの話を聞く。
相談に乗る。
側で見守る。
支えとなる。
そんな桜井の行動に救われたメンバーはたくさんいる。

れいかさんを見ると安心します!
8thのイベントで北海道にななみさんとれいかさんと行かせてもらえた時に、飛行機の中で相談にのって頂いて、それからは、れいかさんを見るとなんだか安心しちゃうんです♪(2014/0930北野日奈子ブログ花言葉より)

玲香は昨日2幕の間ずーっと励ましてくれてて、一緒にがんばろうって言ってくれて、そしたら今日 本役選ばれて!(2014/0607Sat中元日芽香ブログひめたん-OoO-その449より)

しっかりものなのぉ〜、メンバーのことちゃんと考えてくれてて、、、相談にも乗ってくれて、信頼されてるキャプテン。
いつも皆のこと考えてくれてありがとう(2013/0805Mon和田まあやブログ綺麗な夜景とか見たい!いいとこ ありますかぁ?(*´∇`*)より)

秋元真夏「初めてのジャケット撮影で私は玲香とペアだったのですが、あまりに緊張して大泣きしたのをすごく覚えています。大泣きしながら外に走りに行った私を玲香がずっとなぐさめてくれました」(雑誌MdN2015年4月号より)

中田花奈「(前略)半年くらい前に、私がレッスン終わりに急に泣き出して、話を聞いてもらったことがあったけど玲香の前だと安心して感情を全部出せちゃいます。」(NOGIROOMでの手紙より)

桜井の親友、若月佑美もまた、桜井の存在に救われた一人です。NOGIBINGO!2の最終回では、アイドルをやめようか悩んでいた若月を桜井が支えてあげられなかったと思っていたのとは裏腹に、話を聞いてくれたことで救われたと若月は感謝している。

玲香は、いつも私が色んな事を考えてちょっといっぱいいっぱいになってしまう時に気づいて“落ち着いて、楽に考えな”って言ってくれます。この前もあったけど、特に私が兼任をしている時に色んな事を玲香に相談して、ひとり焦ったりして冷静さを失う事が沢山あったね。でも、その都度「ひとりで抱え込んじゃダメだよ、生駒は生駒らしくしてればいいんだよ。」って言ってくれて、それがすごく安心して。(生駒里奈NOGIROOMでの手紙より)

玲香ちゃんキャプテンっぽいなと思う。向いてるって言ったら失礼なのかもしれないけど、みんなにあんまり引っ張れてないとかイジられてるけどさ、実はすごい包容力あるなって思うし、なんか相談しやすい雰囲気もってるし、玲香でよかったって思うよ。(松村沙友里のNOGIROOMでの発言)

周りをちゃんと見てあげる余裕があるから、しっかりしてるなーって思う。(橋本奈々未のNOGIROOMでの発言)

”したことは返ってくる。”を座右の銘とし、自分にも他人にも厳しかった橋本奈々未が、自身の卒業を発表することになったラジオ番組”オールナイトニッポン”にゲストとして呼んだのは、桜井玲香と生田絵梨花の二人で、二人を選んだ理由は、”ずるくない人”だからであった。

橋本が卒業した後も、折に触れて桜井と橋本は会っていて、これからもずっと付き合ってきたいと桜井は語っている。

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冷静と情熱の間~キャプテンモードの時には冷静でいたい~

桜井は、とても謙虚だ。

あまり自分を出そうとしない。

周りの意見を尊重するが、節操なく付和雷同する人間ではない。

きちんと、自分の意見も持っていて、要所要所で、的確なコメントができる冷静さを合わせ持っている。

桜井の冷静さと広い視野はグループに欠かせない。

僕はいつも桜井の『グループのとらえ方』をチェックしている。どこに出しても桜井はちゃんと言葉を残してくれるっていう安心感があるし、メンバーも『キャプテン、頼む!』って心の中では思っているから(今野義男の発言「悲しみの忘れ方」コンプリートBOX付録ブックレットより)

桜井玲香の悔恨~1期生と2期生の確執~

桜井はグループの変化や、グループの置かれた状況を正しく見る目を持っていたが、そんな桜井にも、悔いを残したという思いが強いのは1期生と2期生との確執である。

7枚目シングル”バレッタ”の選抜発表は、まさに事件であった。

入ったばかりの2期生(当時はまだ研究生)の堀未央奈が、いきなりセンターに抜擢されてしまったのだ。

6thシングルで初めてセンターを務めた白石麻衣は、自分のセンターが否定されたと感じ、あたりも憚らず桜井玲香に縋って号泣した。


可愛い後輩として巡り合うはずだった2期生が、いきなり自分たちの目標である選抜メンバーの座を奪い取るライバルとして登場したのだ。

メンバーやファンが混乱する中、桜井はブログにこんな風に綴った。

16+1の新体制(7thシングル”バレッタ”)。
きっとメンバーの中にも
ファンの皆さんの中にも
スタッフさんの中でさえも
考えてる事や思っている事は様々あるし気持ちがはっきりしないのは当たり前だと思うんです。
だってきっと、人一倍乃木坂の事を考えてる人なら1期の気持ちもわかるだろうし、突然呼ばれた未央奈の気持ちもわかるだろうから。
昔からそうだけど、何か本当の意味での変革がある時は賛否両論様々な考え、意見が飛び交い不安定になるもの。
何が正解かなんて誰にもわかんないし
だったら取り敢えず、今を頑張るしかないです。
その答えは間違っている!てワーワー喚くだけで、別の考えを聞こうともせず受け入れ拒否する。そんなんじゃ、何の解決もしない上に、状況も変わんない。
それではいつまで経っても成長なんて出来ないよな…と。
取り敢えず、未央奈!
未央奈は周りが言う様に、びっくりするくらいの透明感と純粋さがあります。
それは乃木坂にとっては凄く大切な要素だと私は考えます。
私たちは未央奈の持つ魅力から新たなものを吸収していきたいと思ってます。
その代わりと言っては変だけど、
何も分からず不安を感じているであろう未央奈のことは、私たちが全力でサポートするよ!
一応先輩、そしてキャプテンという立場の人間ではありますが…
メンバーには頼りないポンコツとよく言われているので、全然改まらず気軽に話し掛けて欲しいなっ!
そして遠慮なく頼ってきてね!
(2013/1009Wed桜井玲香ブログ*2013.10.9*より)

桜井の想いと努力とは裏腹に、1期生と2期生の関係は長らく修復されず、乃木坂46の歴史の中に今でも影を落としている。

桜井にとって卒業にあたっての唯一の心残りである。

メンバーの不祥事、卒業。
生駒里奈がAKB48と兼任することになったことや、2014年の紅白の落選。
乃木坂46に立ちはだかる壁はこれまでいくつもあった。
そしてこれからも沢山あるだろう。
しかし、桜井のスタンスの基本は恐らく、この7枚目の選抜発表後のブログと変わらないはずである。
変化をしっかりと見定める。そして柔軟に、前向きに持っていく。
急成長するグループは、まわりの変化が速く激しく、時に自分たちを見失いがちだが、こうして冷静に柔軟に対応できる桜井は、まさにキャプテンとしてグループの軸となった。

絶対、皆さんを後悔させないグループになります!どこにも負けないグループになります!乃木坂のことを愛し続けてください!

冷静に動きつつも、常にグループに対して情熱的に愛情をもって向き合ってきた桜井。

そんな彼女が、今年の夏の全国ツアー千秋楽公演、ダブルアンコールの後に発した言葉は、みんなと共に歩くキャプテン像を目指した者ならではの力強いものであった。

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舞台は唯一自分を解放できる場所

乃木坂46というホームがあって、一人一人のメンバーがそれぞれのフィールドで活躍する。

お互いがお互いに良い刺激を与え、グループとして成長していく。

そこではもちろん、桜井玲香も例外ではない。

彼女の個としての輝きが、他のメンバーの希望となる。

小さいころから桜井の夢は女優になることであった。

そして、確実にその夢の実現に向かって歩を進めてきた。

桜井はもう立派に女優であるのかもしれない。

アイドルだからというバイアスを壊したい、と本人が望む通り、ミュージカル「リボンの騎士」を見た乃木坂46のファン以外の多くの人たちがそのパフォーマンス(歌や演技)の質の高さに驚いた。

桜井は映画「悲しみの忘れ方」のパンフレットの中で、乃木坂46の大好きなところ、嫌いなところを聞かれて次のように答えている。

年齢のわりに落ち着いていて控えめで、素朴なところが心地よいけど、控えめゆえにナイーブすぎるところが弱点

これは、桜井の乃木坂46に対する評価であると同時に、自分自身に対する評価でもあるのだろう。

桜井はグループが5年目を迎えた2017年のインタビューでこんな風に語っている。

Q:乃本坂46の中で、今後の自分はこうありたいという理想像はありますか?
いい意味で、溶け込まないことですね。「桜井玲香」という存在で、ちゃんとありたいというか。全員で並んでいる時に、溶け込まない…。
Q:「際立つ」という意味ですか?
そう、それが言いたかった(笑)!際立つ存在っていますよね。飛び抜けて見えるような、そういう人になりたいなって思います。
Q:そのあたりも含めて、桜井玲香を定義するなら、どんな人間と言えますか?
「自信がない人間」ですかね。本当にコンプレックスだらけで。5年前のほうが自信あったんです。年々なくなっていきますね。
Q:キャプテンを務め上げ、グループを代表して舞台にも立っているのに?
それが全然なんです。自信は持つべきですよね…うん、持つべきだ!
Q:なぜそう思ってしまうのでしょう。
この5年間で、多少なりとも外の世界を見てしまったからでしょうね。今いる環境って、なんだかんだで狭いと思うんです。そこで、一歩外の世界に踏み出した瞬間、世の中にはこんなにすごい方がいるのかって思い知るんですよ。

乃木坂46としての活躍がベースとなって、個人への活動のオファーににつながっていく。

だから自分のためでなく、ほかのメンバーのためにもグループとしての活動には手を抜けない。

キャプテンであるからこそ感じるプレッシャーである。

だから桜井玲香にとって、個人として活動できる舞台は、自分を解放できる唯一の場所になった。

舞台がいちばん好きなんです。
なんていうか、解放感に満ち溢れているんです。
映像の場合、監督さんにOKをいただいても、「本当はどう思ってるんだろう?」って気にしちゃうんです。
でも、舞台は自分と役者さんがいて、誰も干渉できな空間じゃないですか。
お客さんの反応もその瞬間にすべてわかりますし。舞台の最中って、超楽しいんです。

(舞台で演技することの快感に)目覚めました。
「プリンシパル」を除くと、SET(スーパー・エキセントリック・シアター=三宅裕司主宰)さんの「Mr.カミナリ」が最初(の客演)だったんですけど、楽しかったな〜。
もっというと、2度目の「プリンシパル」(2013年5月)の時点で、すでに舞台に立つことの楽しさに気づいていました。
それは、コンサートの時とはまったく違う感覚なんです。
コンサートってグループでやるから、「揃えなきゃ」とか「最後のMCできっちりまとめなきゃ」とか、そういうことに重点を置いています。
だから、プレッシャーだらけなんです。
でも、舞台って個人で出演しているから、そういう縛りから解き放たれるんですよ。(桜井の発言から)

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舞台女優桜井玲香としての歩み~後輩メンバーへの道標になるべく乃木坂46からの卒業を発表!~

最初の舞台だった16人のプリンシパルが苦い経験だったので、舞台に立つことには複雑な感情があった。

舞台に立つことは楽しいだけじゃない。

2回目のプリンシパルでは、半分以上2幕に出られなくて、2幕のエンディングのミニライブの出番まで、楽屋で毎日少女漫画を読む日々を過ごしていた。

それを変えてくれたのは、2015年の2つの舞台(『すべての犬は天国へ行く』『リボンの騎士』への出演であった。

この2つの舞台での桜井玲香の演技の評価は、それまでとは全く違うもので、桜井玲香は『リボンの騎士』で、舞台女優として完全に覚醒したとの評も得ている。

桜井自身も手ごたえを感じていて、”この経験は本当に良かったと思ってますし、最高に楽しかった”と語っている。

Mr. カミナリ(2014年10月25日 – 11月9日、サンシャイン劇場) 
すべての犬は天国へ行く(2015年10月1日 – 12日、AiiA 2.5 Theater Tokyo)
★なかよし60周年記念公演 ミュージカル「リボンの騎士」(2015年11月12日 – 17日、赤坂ACTシアター / 2015年12月3日 – 6日、シアターBRAVA!)
じょしらく弐 〜時かけそば〜(2016年5月12日 – 22日、AiiA 2.5 Theater Tokyo)
嫌われ松子の一生(2016年9月29日 – 10月10日、品川プリンスホテル クラブex) – 主演・川尻松子 役
半神(2018年7月11日 – 16日、天王洲 銀河劇場 / 7月19日 – 22日、松下IMPホール) – 主演・シュラ 役 (藤間爽子とのW主演)。
レベッカ(2018年12月1日 – 12月4日、北千住シアター1010 / 2018年12月、愛知・刈谷市総合文化センターアイリス大ホール、福岡・久留米シティプラザ ザ・グランドホール、大阪・梅田芸術劇場シアタードラマシティ / 2019年1月5日 – 2月5日、日比谷シアタークリエ) (わたし 役 ※平野綾、大塚千弘とのトリプルキャスト)。
THE BANK ROBBERY!〜ダイヤモンド強奪大作戦〜(2019年8月2日 – 12日、新国立劇場 中劇場 / 2019年8月16日・17日、大阪・森ノ宮ピロティホール)

アクション女優を目指すほどにめぐまれた身体能力と高いダンススキルや歌唱力が、舞台での桜井玲香の魅力を一層引きたてたのは言うまでもない。

2014年には、目標として”ポンコツを卒業する”としか書けなかった桜井が、2015年11月からの1年間に成し遂げたい目標が、手帳にびっしりと書き込めるほどに進化した。

結果として桜井玲香にとっての2015年は、目標があるのとないのとじゃ、人の行動力ってこんなにも違うんだってことが明確に感じられる1年となったのである。

そして桜井は、2016年に向けて桜井はこんな風に語った。

いち個人としては……やっぱり舞台がやりたいな。こういうことを継続的にやっていきたいです。正直、『犬〜』や『リボンの騎士』をやってるときも次につながればいいなと思いながらやってたので、これが2016年にうまくつながっていったらいいなと思います。

もっと歌やダンスもやりたいし演技も好きだから、ミュージカルにも挑戦してみたいです。

そんな思いが見事に結実し、本格的な商業演劇である、嫌われ松子の一生(2016年6月)の主演、半神(2018年7月)の主演へとつながっていったのだ。

アイドルは憧れの存在で常にキラキラ、笑顔でかわいらしい姿を見せますが、お芝居になると綺麗なものだけじゃなくて、負の感情とか汚い部分も見せないといけない。そういう意味では、芝居では自分のすべてを解放している」と話す桜井。
舞台関係でいただくお話が悪役や闇を抱えている役とか・・・、普段のアイドルの姿は微塵も感じさせない役が多かったので、『誰を観ているのかわからない』って言われます。
「舞台は『生』なので、最初から最後までストーリーを追って、役への感情移入がしやすいし、お客さんの反応次第で自分の感情が変わったりもする。
同じ作品なのに、そういう変化が毎日あるのがすごい気持ちよくて、楽しいですね」(舞台レベッカ出演に際しての発言)

このころグループ卒業後の自身の将来を、”女優として生きていく”と思い定めたのだ。

2019年7月8日、桜井玲香は公式ブログで2019年9月1日乃木坂46 真夏の全国ツアー2019東京・明治神宮野球場公演最終日をもって、乃木坂46から卒業することを発表した。


今年のツアーも遂に始まりました!
1箇所目は名古屋からのスタート!
2日間ともかなり盛り上がりましたよ〜
勢いあるスタートが無事きれました!
ここから、福岡、大阪、東京と周っていきますが…どんな時も、どこの場所に居てもメンバー全員一心同体。最後まで突っ走ります!!

そんな中、今日は皆さんにご報告。
この度9/1をもって乃木坂46を卒業する事が決まりました。

ここ数年、卒業していくメンバーが増え
色々なフィールドで奮闘する姿を見て、
自分もそろそろ乃木坂46のその先に続く
新たな道標をつくる立場にまわるべきだと思うようになりました。

グループが益々大きくなって、これからもっと素晴らしい景色をみていくんだろうなぁ。と思うと、私も一緒に…。と少し寂しく思ったりもしますが。

グループの更なる成長のためにも、未来の新たな仲間のためにも、何より私自身のためにも。早く一人前になって、この人、乃木坂46の初代キャプテンだったんだよ!とみんなの自慢になれる様に頑張らなきゃな!!

自分を成長させてくれた、真夏の全国ツアー。汗も涙も笑顔もたぶん一番多く溢れた、明治神宮野球場でラストを締めれる事が本当に嬉しいです。

卒業までの残り時間があまり多くないのですが。最後まで「乃木坂46」「キャプテン」と向き合っていきたいと思います。

みんな、ラストのラストまで
アイドル桜井をどうぞよろしくお願いします!!

2019年7月8日桜井玲香公式ブログはこちら

七夕祭りの竹に括り付けられた休養中の大園桃子の願いが書かれた短冊が切なく胸を打つ。


”大切な人達と離れる日が来ませんように。” ももこ

最も乃木坂らしいメンバー、桜井玲香の乃木坂46での活動が間もなく終わろうとしている。

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