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欅坂46改名の真相とその後に待ち受ける茨の道~欅坂46ラストシングル”誰がその鐘を鳴らすのか?”にセンターがいない理由~

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欅坂46ラストシングル”誰がその鐘を鳴らすのか?”にセンターがいない理由

2019年の『欅坂46 夏の全国アリーナツアー2019』の掉尾を飾る欅坂46初となる東京ドーム公演(2019年9月18・19日)を行って以来、約10カ月間ライブ活動を休止していた欅坂46が、2020年7月16日、グループ初の無観客配信ライブKEYAKIZAKA46 Live Online, but with YOU!を行った。

3.500円のチケット購入者は9万人、延べ視聴者数は30万人に達し、欅坂46ライブの変わらぬ人気の高さがうかがえた。

ライブの最後に、キャプテン菅井友香から、2020年10月に欅坂46として最後のライブを行い、それを持って欅坂46としての5年間の活動の幕を閉じて活動を一時休止すること、その後現有の28名で新たなグループとして再出発することが発表された。

★欅坂46公式HPのコメント
欅坂46に関しまして
2020年7月16日
本日の配信ライブ「KEYAKIZAKA46 Live Online, but with YOU!」にて発表されましたが、欅坂46は4年間の歴史を閉じ、新グループ名となり新しく生まれ変わります。

8月21日の配信シングル「誰がその鐘を鳴らすのか?」を最後の楽曲としてリリースし、10月に開催予定の「欅坂46ラストライブ」にて活動を休止します。

詳細は後日発表いたします。

それと同時に、配信ライブの最後に披露された”誰がその鐘を鳴らすのか?”が、欅坂46としてのラストシングルとなることも発表された。

同曲が配信のみとなったのは、コロナ禍で、これまでのような握手会などの通常のプロモーション活動ができないためだ。

”誰がその鐘を鳴らすのか?”は、2019年2月リリースの8thシングル”黒い羊”以来、1年5カ月ぶりの新曲で、欅坂ファンは熱狂的な歓迎ぶりを見せた。

しかし、平手友梨奈がいないライブとこれまでの世界観とは違う”誰がその鐘を鳴らすのか?”という楽曲は、コアな欅坂ファンにはもう一つ響かなかったように見える。

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”誰がその鐘を鳴らすのか?”


★歌唱メンバー(28名 全員歌唱曲)
石森虹花、上村莉菜、尾関梨香、小池美波、小林由依、齋藤冬優花、佐藤詩織、菅井友香、土生瑞穂、原田葵、守屋茜、渡辺梨加、渡邉理佐、井上梨名、関有美子、武元唯衣、田村保乃、藤吉夏鈴、松田里奈、松平璃子、森田ひかる、山﨑天、遠藤光莉、大園玲、大沼晶保、幸阪茉里乃、増本綺良、守屋麗奈

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”誰がその鐘を鳴らすのか?”は何故9thシングルになれなかったのか?

”誰がその鐘を鳴らすのか?”は、2020年2月25日に公開された欅坂46メンバーが出演するイオンカードのCM”わたしの道篇”(出演:森田ひかる)でその一部が初めて公開されている。

このCMは、2期生のホープ森田ひかるのみずみずしい表情を巧みに捉えた良質なCMである。

”誰がその鐘を鳴らすのか?”は、イオンカードCMとのタイアップ曲となったことで、テレビメディアで数多く放映され、多くの人の知るところとなった。

8thシングル”黒い羊”(2020年2月リリース)以降長らく新作を発表しなかったこともあって、ファンからは、”誰がその鐘を鳴らすのか?”の音源化を望む声が多く上がった。

一方で、今泉祐唯や長濱ねるら多くの人気メンバーがグループを離れ、2020年1月には絶対的センター平手友梨奈が脱退したことで、これまでの路線の再検討を迫られていた運営は、ファンに向けて何らかのメッセージも出す必要に迫られていた。

9thシングルは、”10月のプールに飛び込んだ”という楽曲で、欅坂46の1期生と2期生メンバーから選ばれた選抜メンバー17名(1期生10名+2期生7名)で制作に入っていたのだが、平手友梨奈らメンバーの反対によってリリースできず、幻の9thシングルとなってしまった。

欅坂46”10月のプールに飛び込んだ”~幻と消えた選抜制と9thシングル・欅坂46活動休止から櫻坂46へ!~
”10月のプールに飛び込んだ”はなぜ平手友梨奈に拒否され、幻の9thシングルになってしまったのか ”10月のプールに飛び込んだ”は、2020年10月7日にリリースされた欅坂46の最後のアルバム”永遠より長い一瞬~あの頃、確かに存在した私たち...

そうこうしているうちに、新型コロナウィルスのパンデミックが発生し、シングルリリースや握手会などそれに伴うプロモーション活動も実施不可能な状況に陥ってしまう。

活動休止期間が思いのほか長くなり過ぎてしまった結果、9thシングルは、ポスト平手友梨奈を欅坂46がどういう方向性で進むのかを示すシングルとして、さらに注目を集めることになってしまった。

すでに完成していた”誰がその鐘を鳴らすのか?”を9thシングルとしてリリースするプランも検討されたが、特定のセンターを設けなかった同曲は、高くそびえたってしまったハードルを飛び越える作品とはならなかった。

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平手友梨奈を失って欅坂楽曲制作へのモチベーションを失った秋元康総合プロデューサー

秋元康総合プロデューサーはこれまで欅坂46の表題シングルにおいて、”サイレントマジョリティ”、”不協和音”、”アンビバレント”、”黒い羊”など、キャッチーでアトラクティブなワードやギミックを仕掛け、アイドル楽曲を超える共感を獲得してきた。

それもこれも、平手友梨奈という稀代の才能にインスパイアされたことで生まれたものだ。

ところが2020年1月欅坂楽曲の創作の源泉である平手友梨奈がグループを脱退してしまう。

それによって作詞家秋元氏の欅坂楽曲制作に対するモチベーションは、わかりやすく低下してしまったのである。

平手友梨奈が脱退した欅坂46は、秋元氏にとって、もはや創作意欲を掻き立てるような特別なグループではなくなったのである。

平手友梨奈と作詞家秋元康に全面的に頼り切っていた欅坂運営は、平手脱退のかなり前から機能不全を起こしており、この事態に直面してついに立ち往生してしまう。

幸か不幸かコロナ騒動で、エンタメ業界全体がストップしている中で、欅坂46もじっと息を潜めていなければならない状況だったが、メンバーもスタッフも、働かなければ食ってはいけないという、実に身も蓋もない事態に至ったのだ。

そして運営が絞り出した結論が、とりあえず欅坂46をいったんリセットすること、すなわち『”欅坂46”の看板を外し、新たなグループ名に改名した上で再出発する』ことなのである。

そして、欅坂46の改名ライブを10月に行い、新しいグループ名での1stシングルが完成するまで、グループの活動を休止するという決断をする。

その間の”つなぎ”として、8月21日に”誰がその鐘を鳴らすのか?”を最後の欅坂46のシングルとして配信開始を決定したのだ。

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欅坂46は何故改名をしなけれならなかったのか~改名後に待ち受ける”茨の道”~

”誰がその鐘を鳴らすのか?”にセンターがいない理由~誰も平手友梨奈の代わりにはなれない~

キャプテン菅井友香は”誰がその鐘を鳴らすのか?”について、”これまでのシングルとちがって、この楽曲にはセンターがいない。みんなにで支え合って作った楽曲で、それぞれに見せ場がある”(レコメン7月20日での発言)と語っている。

本来なら、ポスト平手友梨奈体制での初めてのシングルでは、新たな路線で、フレッシュなセンターを立てて、新生欅坂46をアピールするべきところである。

でも欅坂運営はそうはしなかった。

否、そうはできなかったというのが実情だろう。

平手友梨奈は、グループ在籍中に体調不良や怪我でたびたびライブを欠場した。

その際小林由依や、小池美波、土生瑞穂、さらには2期生の森田ひかる、武元唯衣、藤吉夏鈴らが代役としてセンターを努めてきた。

総じてファンの反応は優しかったが、平手友梨奈が社会に与えた衝撃とは比ぶべくもなかった。

誰も平手の代わりにはなれなかったのだ。

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運営は、欅坂46結成当初から平手友梨奈1強体制に危機感を抱いていた

ポスト平手友梨奈問題は、実は欅坂46誕生の当初から運営にとっての大きな課題であった。

乃木坂46の1期生は36人、その中で16人の選抜メンバーを抜擢して標題シングルを歌わせてきた。

選抜メンバー16人の背後には20名あまりのアンダーメンバーがいて、運営は彼女たちに切磋琢磨させていた。

欅坂46も当然同じ方式でいくはずだったのだが、欅坂46の1期生オーディションの応募者のレベルが相対的に低く、21名しか合格者を出すことができなかった。

欅坂46の1期生オーディションの応募者は、ビジュアルにおいても、アイドルとしての資質という点でも、乃木坂46の1期生応募者とはかなり差があったのだ。

その結果21名という少ない合格者となってしまった。

21名ではまともな選抜制は望めない。

危機感を抱いた運営は、3次審査を辞退した長濱ねるを強引にグループに参加させ、アンダーグループ”けやき坂46”を誕生させ、すぐに追加オーディションを実施した。

これが、長濱ねるを含むけやき坂46(通称ひらがなけやき)誕生の経緯である。

たった21名しか合格者を出せず、目論んでいた選抜制をとれなかった欅坂46に、アンダーグループひらがなけやきを追加して、両者33名で選抜制を始めたいと運営は考えていたのだ。

ところがその目算は、”サイレントマジョリティ”の望外のヒットで、嬉しい誤算となってしまう。

カリスマセンター平手友梨奈は、その圧倒的な存在感と表現力で、欅坂46をアイドルグループを超える新たな地平に導いてしまったからだ。

平手友梨奈によって導かれた欅坂46の成功は、メンバーに稀有な成功体験を味合わせた。

標題シングルのCDセールスは、右肩上がりに増え続け、結成1年目から紅白歌合戦に出場するスーパーアイドルグループに駆け上がっていく。

数十年に一度の天才パフォーマー平手友梨奈と他のメンバーの才能には相当な開きがあったが、平手友梨奈はその圧倒的なパフォーマンスで、グループ全体をアイドル界の頂点に引っ張り上げてしまった。

運営は、そんな状況の中で、21人での全員選抜を続けることを選択し、平手友梨奈ひとり頼みという危うさを抱えながら、欅坂46ビジネスは快進撃を続けていくのである。

その陰で”ひらがなけやき”は、欅坂46のアンダーグループという位置づけにもかかわらず、欅坂46への昇格という道を事実上閉ざされたまま、結成から半年以上も放置されるという悲劇が生まれてしまう。

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”21人の絆”という共同幻想に縋った平手友梨奈や欅坂メンバーたち

順風満帆に見えた欅坂46だったが、平手友梨奈のリミッターを外したような生命を削るパフォーマンスは、平手自身を蝕み、平手友梨奈は心と体のバランスを崩してしまう。

怪我や体調不良によって平手はしばしばライブやテレビ出演を欠場することになる。

平手友梨奈不在時では、平手ポジションを開けたままパフォーマンスを強行したり、小林由依らがセンターの代役を努めるなど、メンバーは必死で平手の留守を守ろうとした。

しかし、平手不在の穴はとてつもなく大きく、結局誰もそれを埋めることはできなかった。

ここに至って、平手以外のメンバーは、”自分はグループに何も貢献できていない”と感じ始め、自身のアイデンティティの危機にさらされてしまう。

そしてそのことは、グループの中でのメンバーの関係性を不安定にし、徐々にグループの雰囲気は悪化していく。

これに慌てた運営は、原点に立ち戻り、5thシングル”風に吹かれても”で、当初の目論見通り漢字欅とひらがなけやきのシャッフルによる選抜制の導入を決断する。

ところがこの発表に、平手友梨奈が猛反対して”選抜制を強行するなら自分は欅坂46を辞める”と言い出す。

運営は必死で説得を図るが、平手友梨奈は秋元康総合プロデューサーに直訴するという禁断の一手を放ち、運営の方針をひっくり返してしまった。

グループ内部の不協和音に責任を感じていた平手友梨奈は、”21人の絆”という幻想に縋ってメンバーに贖罪したかったのだろう。

平手友梨奈以外のメンバーも自身のアイデンティティの拠り所として”21人の絆”を意識するようになっていく。

この平手友梨奈の強引な手法によって、5th以降も21人による全員選抜は守られたが、それぞれのメンバーの想いは決して一枚岩ではなく、その違いは次第に覆い隠すことができないくらい大きいものになっていく。

そしてその原因が自分にあると考えていた平手友梨奈のメンタルも危機に瀕していく。

一方で欅坂46への昇格の道を完全に断たれたひらがなけやきメンバーは絶望に打ちひしがれてしまっていた。

ことここに至って、運営は地道な努力を続けて次第に力をつけていった”ひらがなけやき”を、欅坂46とは別の、坂道第3のグループとして売り出すことを決断する。

それと同時に。2017年9月長濱ねるの欅坂46とひらがなけやきの兼任を解除するのである。

以降”ひらがなけやき坂46”は”ハッピーオーラ”というコンセプトを掲げ、欅坂46とは一線を画した活動を始めることになるのである。

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どうしても選抜制導入を図りたい運営は、アンダーグループ強化のために10万人の応募を狙って”坂道合同オーディション”の実施に踏み切る

5thシングルで選抜制の導入に失敗した欅坂46だったが、平手の好不調の波がさらに激しさを増していることについて、運営は危機感を募らせていく。

欅坂46にどうしても選抜制を導入したいと考えている運営は、欅坂46を底上げするという問題と、”世代交代”という喫緊の課題を抱えている乃木坂46の2つの問題を、一挙に解決をするべく、坂道合同オーディションという妙手に打って出る。

10万人の応募者を集め、それによる応募者のレベルアップを図るという目論見であった。

”坂道合同オーディション”は、10万人の応募者を集めることに成功したが、そのレベルは運営が意図したものとはならなかった。

2018年11月、むりやり39名の合格者を発表したものの、乃木坂4期生11人、欅坂2期生9人、ひらがなけやき1人の合計20名しか配属することができなかったのである。

(注)配属から漏れた合格者19名は、坂道研修生としてレッスンを続け、遅れること1年2カ月の2020年2月に、乃木坂46新4期生5名、欅坂46新2期生6名、日向坂46新3期生3名として追加配属され、坂道合同オーディションから誕生した坂道メンバーは、最終的に合計34名(5名が脱落)となった。

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止まらない人気メンバー卒業の連鎖と贖罪の意識に捕らわれる平手友梨奈

平手友梨奈1強体制への考え方の違いから、人気メンバーの1人今泉祐唯が2018年11月4日に卒業、体調不良で長らく活動を休止していた志田愛佳も、11月16日をもって欅坂46を卒業した。

2019年5月には欅坂46 3rd YEAR ANNIVERSARY LIVE(日本武道館)、7月には欅共和国2019(コニファーフォレスト)を実施したが、平手友梨奈に次ぐ人気メンバー長濱ねるは、これに参加せず、7月30日をもって欅坂46を去った。

▼欅共和国2019

2019年9月運営は、冠番組”欅って書けない?”の番組の中で、9thシングルの選抜メンバー17人を発表を強行する。

8thシングル”黒い羊”を同年2月にリリースしてから半年以上経過してしまい、9thシングルのリリースをもうこれ以上は伸ばせないという判断からであった。

だがそんな運営の想いとは裏腹に、欅坂46のメンバー間の軋轢はさらに激しくなり、9thシングルは”10月のプールに飛びこんだ”という楽曲で一度完成を見たものの、平手友梨奈ら多数のメンバーからの反対にあってしまいリリースすることができなくなってしまう。

これらの状況は、メンバー間の考え方の違いをさらに増幅してしまい、年が明けた2020年1月23日、グループの象徴であり、絶対的センターだった平手友梨奈がグループから脱退するという非常事態を迎えるのである。

同日には、男性スキャンダルで謹慎中だった織田奈那、紅白歌合戦出演以降消息が不明だった(後にマルタ共和国に滞在していたことが判明)鈴本美愉もグループを卒業を発表している。

事ここに及んで、運営がひた隠しにしていた欅坂46の内部崩壊は、隠しようがなくなってしまい、運営機能不全に陥り、完全に立ち往生してしまった。

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改名しての再出発は”解散”と同義、その後は2期生中心のグループに生まれ変わる

運営は改名によってグループの立て直しを図ろうと考えているが、グループ内部の惨状に卒業を希望する1期生はまだ一定数存在している。

運営はこれ以上のメンバーの離脱を防ぐべく、説得を続けるだろうが、有効な説得材料は見当たらない。

おそらく10月のラストライブで卒業する1期生メンバーは何人か出るだろう。

それを見据えて、3期生オーディションの実施も検討されているはずである。

現状のままではグループ崩壊を免れないと思い定めた運営が絞り出した結論が、欅坂46の活動休止と改名しての再出発だ。

だがこのことは結局、”平手友梨奈がいない欅坂46は成立しない”という冷厳な事実を認めたに等しい。

メンバーのモチベーションを下げ続けたこの事実が現実になっただけである。

ひらがなけやきから日向坂への改名は、前向きなものでほとんどのメンバーが歓喜した。

だが欅坂46での成功体験に縋り続ける1期生メンバーは欅坂46の名前が消滅することをまだ十分に受け止めきれてはいない。

欅坂46は、1期生13人、2期生9人、新2期生6人の合計28人が現有勢力である。

レベルが低かった1期生に比べて、2期生9人には見るべきものを持つメンバーが多い。

運営は今後2期生中心でのグループ運営を図っていくと思われる。

改名後の新たなグループのセンターには2期生が選ばれる公算が高い。

2020年10月、5年間の活動に幕を下ろすこととなった欅坂46。

叛逆のカリスマ平手友梨奈を世に送り出し、平手友梨奈の脱退によって崩壊した欅坂46。

欅坂46は、アイドル史の特異点として人々の胸に深く刻まれ”伝説”となるが、改名後に待ち受けているのは”茨の道”であることは間違いない。

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