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AKS損害賠償訴訟の真の狙いとNGT48切り捨てのシナリオ~VCファンドと組んで株式上場での莫大な創業者利益を狙うAKS~

アイドル

2019年4月26日、NGT48の運営を担う株式会社AKSは、元メンバー山口真帆さんをマンションにて待ち伏せし、大声を上げようとした山口さんの口を手でふさぎ通報されて新潟警察に逮捕された北川丈氏と笠井宏明氏(後に不起訴処分)を相手取り3,000万円の損害賠償を求めて新潟地裁に提訴した。

しかし今回の騒動でこうむったとする総額で1億2,000万円以上というAKSの損害の大部分は、AKSの危機対応能力の拙劣さが招いたものであることは論を待たない。

地元密着型のアイドルグループを目指したNGT48はその狙い通り、多数の地元企業や、地元マスコミ、新潟県などの支援を受けて、他のAKBグループとは一味違った活動を行ってきた。

それを裏切る形になったNGT48は、地元からの信頼を失い、その存立さえ危ぶまれる事態に陥っている。

AKSは、7月1日未明にコーポレートサイトを公開し、吉成夏子社長名でのメッセージを掲載してグループの運営・管理においてコーポレート・ガバナンスが欠如していたことの反省と運営・管理体制の改善を表明した。

さらに独立系ベンチャーキャピタル(VC)のBダッシュベンチャーズから出資を受け、AKSは5年以内の新規株式公開(IPO)を目指すとしている。

そんな中で2019年7月10日、新潟地裁にて第1回口頭弁論が開かれた。

被告となった北川氏と笠井氏サイドは、損害賠償請求の棄却を求めて全面的に争う姿勢を示した。

AKSが今回の民事訴訟に踏み切った真の狙いは、経済的損失の補填ではなく、メンバーやその親族が求めている真相の解明だとしている。

一方、裁判の過程で今までAKSが守ってきた(隠ぺいしてきた?)メンバーについての不都合な事実が表に出て来るリスクも大きいのだが、あえてそのリスクをとる決断をしたようだ。

AKSが最後までこだわった、”メンバーの関与は山口真帆さんの思い込み(被害妄想?)で、そのことが事態を複雑にした”という見解に一定の根拠があることを、裁判の中で証明したいとの思いも透けて見える。

AKSは、すでに自力でのNGT48の再生を諦めていて、この訴訟の結果次第では、グループの解散も止む無しと考えているのかもしれない。

今回の公判の中で、被告側と徹底的に事実関係を争った結果、NGT48が解散を余儀なくされても構わないと考えているのではないかとさえ思われるのである。

これまでの経緯を振り返りながら、AKSの真の狙いや今回の訴訟の行方とNGT48の今後について考えてみたい。

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事件の発覚から山口真帆さんらの卒業まで~AKSの情勢判断の甘さと危機管理能力の欠如~

事件が起きたのは2018年12月8日夜のこと、それ以来AKSは一貫して事件が世間の目にふれないことを第一義として対応してきた。

山口さんに対しては、事件の真相を明らかにし、メンバーの関与が明らかになれば処分すると約束しながら、その願いを無視し続けた。

2019年1月になってAKSの対応のひどさに堪忍袋の緒が切らせた山口さんが自身のSNS(SHOWROOM配信やTwitter)で涙の告発をし、それを知ったNHKなどが事件を報道するというスキャンダラスな展開で発覚する。

その後のAKSの危機対応の拙劣さは目を覆うばかりであった。

●事件発覚の翌日のNGT劇場公演で、被害者であるはずの山口さんに謝罪させた

●防犯ベルの支給や自宅巡回の強化という低レベルな対策で事件を収束させようとした

●今村悦郎支配人に何の説明もさせずに、彼を更迭・異動した。(新支配人は早川麻依子氏)

●2月1日、AKS自身が選任した3人の弁護士による第三者委員会を立ち上げるが、強制力がない調査で十分な結果が得られなかった。

●第三者委員会の報告書についての会見を(第三者委員会にやらせず)AKS自身が行った。

●報告書の中で、新潟の都市部が狭い、安全なマンションがない、交通機関が発達してない、人がいないからファンの絶対数が少ないなどが事件の背景にあると指摘、地元の反感を買ってしまった。

●3月21日、松村支配人らによる調査報告書の発表会見の最中に、山口さんのTwitterからリアルタイムで反論され、松村氏がしどろもどろになるという醜態を晒した。


●報告書を受けて、①NGTメンバーの暴行事件への関与はなかった②(程度の差はあるものの)ファンとつながっていたメンバーが12人確認されたが風紀の乱れを含めて、今回は不問とすると発表した

これらの経緯で、山口さんとAKSの対立は修復不可能になり、4月21日のNGT劇場公演で、山口真帆さんと彼女を支援してきた菅原りこさん、長谷川玲奈さん3人の卒業が発表されたのである。

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地元の信頼を失い、バッシングの嵐にさらされ、活動再開のめども立たない八方ふさがりのNGT48

これまでNGT48を地元密着型のアイドルとして応援してきた地元マスコミや地元企業、さらには新潟県までもこの対応に不信感を持ち、次々に支援の打ち切りを発表した。

山口真帆さんと彼女に寄り添った菅原りこさんと長谷川玲奈さんを卒業に追いやったAKSの対応に、マスコミやファン、さらに一般市民からも批判の声が上がった。

山口さんの卒業と同時に、早川麻依子支配人がTwitterを始めたが、その内容がいかにも言い訳がましく、第三者委員会の報告書までも否定するような内容もツイートされて、すぐに炎上している。

早川氏も自らの置かれている立場が理解できていないようだ。

NGT48としての活動だけでなく、メンバー個人の活動にもバッシングの声があがり、AKBグループの一員としてのNGTメンバーのテレビ番組出演に対しても抗議が殺到して染むような状況になっている。

そんな中で、NGT48の未来を担うはずの期待の山崎美里衣さん、高沢朋花さん、渡邉歩咲さんらの研究生たちの活動辞退も相次いだ。

一向にやまない批判の嵐の中で、劇場公演も含めて、NGT48の今後の活動の目途は立っていない。

ことここに至って、AKSは打つ手が無くなってしまったように見える。

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損害賠償訴訟の真の狙いとNGT48切り捨てのシナリオ

2019年7月10日AKSが、元メンバー・山口真帆 さんへの暴行容疑で逮捕され不起訴となった北川丈氏と笠井宏明氏に3000万円の損害賠償を求めた訴訟の 第1回口頭弁論が10日、新潟地裁で開かれた。

訴状では、今回の騒動でのAKSの損害は劇場公演やコンサートツアーの中止による損失、警備費用や第三者委員会費用などと合わせて1億2千万円以上にのぼるとしている。

今回の訴訟ではその一部の3,000万円の賠償を求めたものだ。

47席しかない一般傍聴席を求めて、抽選には150人が並び、倍率は 約3.2倍とこの訴訟への世間からの関心の高さをうかがわせた。

第1回の口頭弁論では、代理人を含めて被告側は誰も出廷せず、注目の 裁判はわずか3分で終わった。

被告側は、提出した答弁書の中で、訴状に書かれた事実については「追って主張する」「追って認否する」とし、(損害賠償)請求の棄却を求めて全面的に争う姿勢を明らかにした。

AKS側は代理人である弁護士2人が 出廷し、閉廷後にその一人の遠藤和宏弁護士が報道陣の取材に応じた。

注目されるのは、裁判所からは弁論を非公開で進めていくことを提案したにもかかわらず、AKS側が「公開の法廷で進めたい」と主張したことである。

AKSの訴状には、事件当日に山口とAKS関係者が被告らと話した内容が記載されており、

被告らが事件現場となった山口の自宅マン ションに出入りできる状況で、一部メンバーとは以前から一緒に食事や遊んだりするなど交流を持っていたこと

山口さんががかねて質問した「つながっているメンバー」について8人の名前を挙げたこと

などの内容が含まれている。

遠藤和宏弁護士は、「事件に他のメンバーは関わっていない」と強調したが、これらの事実関係を争うとなれば、被告らが共犯として疑われたメンバーと一緒に食事するなどの私的交流を示すLINEなどの やりとりや、一緒に映っている写真などが証拠として提出される可能性は高い。

その過程では、メンバーたちの極めて私的な状況が表に出てくる可能性があるのだ。

AKS側の主張が覆えされれば、それはそのままNGT48解散への片道切符につながっていく。

該当するメンバーは、過酷なバッシングに遭い、アイドル生命や芸能生命を絶たれたり、普通の社会生活を送ることさえも困難になることもあり得るだろう。

AKSは今回の訴訟では、それに配慮することを放棄しているように見える。

すべてを白日の下にさらし、その結果、世間からの批判によってNGT48が解散せざるを得なくなればそれでも良いと腹を括っているようにも見える。

損害賠償訴訟という外科的手術によって、劇的に再生するか、あるいは手術の負担に耐えられる体力がなく、命を落とすか、そのどちらになっても良いと判断しているということである。

今回の事件を機に、AKSの株式の100%を持つ吉成夏子社長は、社内体制を一新し、独立系ベンチャーキャピタル(VC)のBダッシュベンチャーズから出資を受けることを決定した。

新体制の下、5年後の株式上場を目指すことも発表している。

もしこの構想が順調に進み、5年後に株式上場が実現すれば、吉成社長(とバックにいる京楽産業)は数十億にのぼる莫大な創業者利益を手にすることができるだろう。

1億2,000万円程度の損失はすぐに回収できるのである。

そのために、この際出すべき膿はすべて出し切ってしまおうとの方針を固めているようだ。

明らかになった事実が世間の許す範囲を逸脱していて、NGT48存続を危うくするような事実であれば、それを理由に、NGT48を切り捨てるというシナリオまで検討しているということである。

NGT48解散となれば、メンバーは活動の場を失ってしまう。

一部の不見識メンバーにとっては、自業自得かもしれないが、多くの年少メンバーや、まじめにアイドル活動を続けてきたメンバーは可哀そうであることこの上ない。

NGT48を追われた山口さんら3人は、秋元康総合プロデューサー個人の人脈で大手プロダクションに移籍することができたが、グループ解散となれば、NGT48に残った多数のメンバーを、秋元康氏個人の人脈だけではカバーしきれないであろう。

その時にAKSは、メンバーの去就には責任を持つことができるのだろうか?

はなはだ疑問であると言わざるをえない。

NGT48を選んだ少女たちが、大人たちの勝手なビジネスに振り回されて、一度しかない彼女たちの青春時代を棒に振らないように願うばかりだ。

AKSがAKBグループのマネジメントから全面撤退~新規株式公開が頓挫して社名変更、新会社”Vernalossom(ヴァーナロッサム)”の狙いと吉成夏子社長の野望の行方~
NGT48騒動で多くの批判を浴びた株式会社AKS(吉成夏子社長)は、AKB48、HKT48、NGT48のマネジメント業務をそれぞれ別会社化し、AKS本体は”Vernalossom(ヴァーナロッサム)”に社名変更して新規事業をメインとする新体...

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