AKB48運営の焦燥~コロナ渦から立ち直りつつある乃木坂46と凋落が止らないAKB48~
コロナ渦で明暗を分けたAKB48と乃木坂46~栄華を極めたAKB48の凋落とパブリックイメージの構築に成功した乃木坂46~
2006年に結成され、”会いにいけるアイドル”としてスタートしたAKB48は、、いわゆる握手会商法の爆発的な成功で、2011年からミリオンセールスを連発し、単なるアイドルグループという枠を超えて、AKB48という社会現象にまでなってしまう。
しかしその栄華にも終わりがあり、”神セブン”と呼ばれたカリスマ人気メンバーたちの卒業が、2010年代の半ばころに相次ぎ、その人気に陰りが見え始める。
一方で2011年にAKB48の公式ライバルとしてスタートを切った乃木坂46は、AKB48と一線を画した”清楚で儚げ”というイメージ戦略が成功しAKB48の凋落と反比例するように、人気や発信力でAKB48をしのぐようになっていく。
2010年代半ばには、両グループのシングルが共にミリオンセールスを連発する状況が生れた。
ただメンバーのビジュアルでアドバンテージを持つ乃木坂46はファッション誌の専属モデルに起用されたり、映画やドラマのヒロインに抜擢されるなど、アイドル活動以外での活躍もあって、AKB48をしだいに置き去りにしていく。
それでも握手会が開催できた2019年まではAKB48のシングルはミリオンセールスを継続していて、運営は危機感は持ちつつも、”AKB48はまだいける”と踏んでいた。
ところがコロナ渦がその幻想を打ち砕く。
政府が発出した緊急事態宣言で握手会の開催が不可能になると、どのアイドルグループもCDの売り上げは半減し、2021年9月リリースのAKB48の58thシングル”根も葉もRumor”の売り上げは40万枚まで落ち込み、59th・60thでも回復できないままでいる。
同じようにコロナ渦に見舞われた乃木坂46だったが、握手会ができない状況の中でも無観客ライブの配信などでファンを繋ぎとめることに成功し、2022年12月リリースの31stシングル”ここにはないもの”では6作ぶりにミリオンセールスを復活させた。
コロナ渦を分岐点として、AKB48と乃木坂46は鮮やかに明暗が分かれることとなったのである。
迷走するAKB48の運営と打つ手が無い秋元康総合プロデューサー
乃木坂46の人気に完全に置き去りにされてしまったAKB48の状況はいかんともし難く、天才プロデューサー秋元康氏にも打つ手がなくなってしまう。
17年間AKB48を秋元康総合プロデューサーに丸投げしてきたAKB48の運営も、この状態を見て秋元氏頼みの状況からの脱却を考え始める。
そしてそんな状況を打破しようと大胆な施策を打ち出すことになった。
1つは、長らくAKB48を担当してきたレーベルキングレコードとの訣別。それと同時にAKB48のA&Rをずっと担当してきプロデューサー湯浅順司氏との契約解除である。
デビューから8thシングルまで世話になったデフスターレコーズ(SONY系列)に2億超の赤字を残して契約解除となったAKB48。
そんな状況でAKB48を引受けてくれたのがキングレコードだった。
▼その経緯はこちらの記事で

皮肉にもAKB48はその後すぐにブレーク、38作のミリオンセールスという金字塔を打ち立て、AKB48はキングレコードの収益の大きな柱となった。
しかし、その栄華にもやがては陰りが見えはじめ、コロナ渦で完全に終焉を迎えることになる。
これを機にAKB48の運営((株)DH)は、A&Rスタッフを刷新するためにレーベルの移籍とA&R担当のチーフプロデューサー湯浅順司氏との契約解除を決断する。
運営が新たに選んだレーベルは、ユニバーサルミュージック傘下の老舗レーベルEMI Records(EMIレコード)。
61thシングルからはEMIレコードからリリースされることとなった。
楽曲のプロデュースは引き続き秋元康総合プロデューサーが担当するが、今後移籍の効果がどれほど出てくるかが注目される。
もう1つは”OUT OF 48”など、秋元康総合プロデューサーが関与しないプロジェクトの始動である。
これまで運営は、オーディションの運営以外のほとんどを秋元康総合プロデューサーに丸投げしてきたが、現状の停滞の打破ができないことに業を煮やして、ついに秋元康総合プロデューサーの聖域に手をつけることになったのだ。
その手始めのプロジェクトが”OUT OF 48”である。
”OUT OF 48”の概要
”OUT OF 48”は、AKB48と日本テレビがタッグを組んだアイドルオーディションプロジェクト。
”OUT OF 48”の主要スタッフ
運営の現場責任者:牧野彰宏:(株)DH マネージメント部長
プロデューサー:一ノ瀬祐貴(Blowout/CEO)
Vocal Trainer:近藤章裕
Dance Trainer/審査:hana
一ノ宮祐貴氏とは何者?
運営(DH)がこのプロジェクトのプロデューサーに指名したのは(株)BlowoutのCEOである一ノ宮佑貴氏。
エンタメ界隈やアイドル界ではそれほど知名度も実績もない人物だが、SNSを駆使したプロモーションを得意とするいわゆる”バズらせ屋”である。
一橋大を出てGoogleに入社、人工知能のITスタートアップの立ち上げに参画、 2017年に大手企業へのデジタルマーケティングやキュレーションメディア事業を行う株式会社digital chillを創業。
2019年8月にこれを売却、その後2019年4月に、過去の自身の音楽経験(大学時代にインディーズバンドを結成し活動した)を活かして、音楽IP・プラットフォーム事業を行う株式会社blowoutを創業した。
これまでに3人組ガールズグループ”NELN(ネルン)”と、6人組ボーイズグループ”VECTAL(ベクタル)”を立ち上げたが、いずれもブレークは果たせていない。
”VECTAL(ベクタル)”に至っては、デビュー51日目に開催した初のファンイベントで解散を発表するという前代未聞の黒歴史を経験している。
一ノ宮氏は、今回の”OUT OF 48”について、参加を表明した38人のAKB48メンバーの前で次のように語った。
”今回作りたいグループの方向性は、今までのAKB48とはまったく違うもの、まったく別のものを作りたいと思っている。”
この言葉の中には具体的なビジョンは見事に何も語られていない。
語られているのは一ノ宮氏の願望or妄想?だけだ。
AKB48の運営会社であるDHが一ノ宮氏の何を評価し、何を期待しているのかはわからないが、今のままでは”OUT OF 48”の未来に明るい展望は見えない。
公募メンバーの対象は、一般女性とAKB48メンバー(22歳以下)という変則的なもので、まあこの時点で、このプロジェクトの失敗が予想できる。
現有のAKB48メンバーで一ノ宮氏が目指す”OUT OF 48”が実現できるのなら一般公募する必要はないし、現有のメンバーでは理想のグループは作れないと思うのならAKB48メンバーは構想から外すべきなのだ。
このどっちつかずは、一ノ宮氏の言い訳であり、グループの具体的なビジョンがいまだ定まっていないことを示している。
ちなみに一ノ宮氏は、”ラストアイドル新章”のプロデューサーも兼任していて、こちらもまたオーディションの真っ最中である。
”ラストアイドル”は、かつて秋元康総合プロデューサーが発案したアイドルグループプロジェクトで、初代?の”ラストアイドル”はコロナ渦の煽りをもろに受けて2022年5月に解散した。
その名義だけ借りた”ラストアイドル新章”だが、名義を借りる意義も不明であるし、”OUT OF 48”同様どこを目指しているのかまったくわからない。
ラーメン屋の開店でもあるまいし、”居ぬきのアイドル”なんて聞いたこともない。
SNSを駆使した”バズらせ屋”としては有能な一ノ宮氏だが、それも優秀な商品があってこそであり、その商品開発という一番大事なフェイズでの一ノ宮氏の力量はほとんど未知数である。
もっといえばガールズグループ”NELN(ネルン)”と、6人組ボーイズグループ”VECTAL(ベクタル)”では商品開発に見事に失敗している。
”OUT OF 48”の未来にも同じことが起こりそうな予感が漂っている。
秋元康総合プロデューサーでさえ苦労しているAKB48のテコ入れは、もっと根本的なことから始めなければならないだろう。
現在の女性アイドル界は、乃木坂46の独り勝ち状態である。
それを支えているのは、グループのイメージ戦略の成功であり、そのイメージを上手に使ったSONYのメンバー募集オーディションの成功に他ならない。
今のAKB48に必要なものは、グループのコンセプトの見直しであり。新たなパブリックイメージの構築である。
さらににオーディションの戦略を刷新し、新たなグループ作りにつなげられるような長期的なビジョンを作ることが必要なのだ。
冠番組やSNSを使って小さな話題を小手先でバズらせても、それは一過性のものに過ぎない。
秋元康総合プロデューサー離れはそう簡単ではない。
”OUT OF 48”オーディションの課題曲:Your Super Girl
作曲:Uio(SUPA LOVE)
作詞:宮嶋淳子(SUPA LOVE)
振付:hana
Your Super Girl” 歌唱メンバー
6名:坂口渚沙(Team8/22歳)・武藤小麟(16期/22歳)・田口愛佳(16期/19歳)・鈴木くるみ(16期/18歳)・黒須遥香(16期/22歳)・齋藤陽菜(ドラフト3期/18歳)
Out of 48 参加メンバー 22歳以下のメンバー・研究生36名
AKB48の若手(22歳以下)のメンバー・研究生39名に参加を呼びかけたところ、佐藤美波を除く以下の38名が参加を表明した。
※ダンス審査直前に、田口愛佳と太田有紀が辞退を表明し、最終的な参加者は36名となった。
参加メンバー 38名
正規メンバー20名
浅井七海・小栗有以・倉野尾成美・黒須遥香・齋藤陽菜・坂川陽香・坂口渚沙・ 下尾みう・鈴木くるみ・千葉恵里・徳永羚海・長友彩海・永野芹佳・武藤小麟・ 橋本陽菜・福岡聖菜・山内瑞葵・山田杏華・山根涼羽
17期研究生(10名)
小濱心音・佐藤綺星・橋本恵理子・畠山希美・平田侑希・布袋百椛・正鋳真優・ 水島美結・山﨑 空
18期研究生(8名)
秋山由奈・新井彩永・工藤華純・久保姫菜乃・迫由芽実・成田香姫奈・八木愛月・山口結愛
※太字は一次ダンス審査合格者25名
この36人は、第1次ダンス審査で25人に絞られ、4月29日に開催された”AKB48春コンサート2023好きだ!と叫ぼう~”(ぴあアリーナMM)でお披露目された。
一般オーディション日程
■オーディション概要
応募期間:2023年2月23日(木)25時29分~3月19日(日)23時59分まで
審査の流れ:
・1次審査(書類審査)
・2次審査(オンライン):3月25日・26日(土日)
・3次審査(面談審査)東京都内:4月1日・2日(土日)
・4次審査(ダンス歌唱審査):4月8日(土)
・最終審査:4月以降番組で行われる審査にご参加頂きます。
応募資格:・日本国内在住の方・2023年3月19日時点で中学1年生から~満22歳までのプロダクションに所属していない女性・
2次審査以降の審査にもご参加いただける方・選考過程において、テレビ・WEB・その他各種媒体に出演可能な方・
本オーディションに合格した時点で所属契約できる方・遠方にお住まいの方の場合、本オーディションに合格後速やかに上京・在住いただける方
オーディション申込URL:https://www.akb48.co.jp/lp/outof48
今後の”OUT OF 48″の展開
2023年4月29日に行われた”AKB48春コンサート2023~好きだ!と叫ぼう~”の中で、”OUT OF 48”の第一次ダンス審査を勝ち抜いた25人のAKB48現役メンバーと一般応募合格者23人、合わせて48名が課題曲「Your Super Girl 」を初お披露目した。
“OUT OF 48″1次ダンス審査通過者参加者48名 ※2023年4月29日付
OUT OF 48 1次ダンス審査通過者=<AKB48メンバー25人>+<一般参加者メンバー23人>
<AKB48メンバー25人>
秋山由奈・浅井七海・新井彩永・小栗有以・工藤華純・久保姫菜乃・倉野尾成美・齋藤陽菜・坂川陽香・迫由芽実・佐藤綺星・下尾みう・千葉恵里・徳永羚海・⻑友彩海・永野芹佳(内通者)・成田香姫奈・橋本恵理子・平田侑希・福岡聖菜(内通者)・水島美結・八木愛月・山内瑞葵・山口結愛・山崎空。
<一般参加者メンバー23人>
岩本愛加(いわもと・あいか/21歳)・柿元礼愛(かきもと・れな/17歳)・加藤美琴(かとう・みこと/16歳)・鹿又茉奈(かのまた・まな/22歳)・佐藤涼風(さとう・すずか/17歳)・杉井美咲(すぎい みさき/16歳)・鈴木愛來(すずき・さら/16歳)・田中怜衣(たなか・れい/16歳)・陳佐沙(ちぇん・さしゃ/20歳)・永井くるみ(ながい・くるみ/18歳)・中村釉香(なかむら・ゆうか/17歳)・中森美琴(なかもり・みこと/21歳)・成石亜里紗(なるいし・ありさ/14歳)・⻄嶋留花(にしじま・るか/13歳)・畠井心優(はたい みゆう/13歳)・古山菜々美(ふるやま・ななみ/18歳)・松浦由依(まつうら・ゆい/15歳)・松尾咲良(まつお・さら/21歳)・松本乙華(まつもと・おとか/13歳)・村上絢葉(むらかみ・あやは/13歳)・山崎楓花(やまざき・ふうか/22歳)・若林優奈(わかばやし・ゆな/16歳)・渡邊花恋(わたなべ・かれん/13歳)
次のステップ ドラフトで8つのグループを編成~歌唱(個人)・ダンス(グループ)審査で24名に
※太字の6人はグループリーダーに選出され、ドラフトで各自のグループを編成すして、グループごとに審査実施。(審査は5月初め)
審査の結果 6月22日深夜の放送で、合格者24名を1位から順番に24位(AKB15名・一般9名)まで発表した。
目指すグループは”SPEED”
以下のグループ分けでダンス&ボーカル審査、課題曲は”Body & Soul”
審査は1か月後の6月7日
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