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乃木坂46デビューシングル選抜発表エピソード~”ぐるぐるカーテン”~センター候補の突然の活動辞退で、押し出された形で初代センターに指名された生駒里奈、図らずも”乃木坂46の顔”になってしまった苦悩が始まる~

アイドル

デビューシングル”ぐるぐるカーテン”の選抜発表

AKB48の公式ライバルと位置付けられて発足した乃木坂46。
2011年8月21日に一期生オーディションへの応募者38,934人の中から36人の精鋭が選ばれて晴れて一期生となった。
乃木坂46もAKB48と同様に、標題シングル曲の歌唱メンバーは、選抜制をとっている。

表題曲ごとに16人から20人前後の選抜メンバーが選ばれ、レコーディングやMV(ミュージックビデオ)の撮影に参加することができるのである。

さらに選抜メンバーは、ミュージックステーションなどの音楽番組に出演することができ、雑誌や、新聞メディアから取材を受けるチャンスも多くなる。

一方で、選抜から漏れてしまったメンバーは、アンダーメンバーとなり、次の選抜メンバーには、なんとか選ばれるようにと、レッスンに励むことになる。

AKB48のように専用劇場を持っていれば、アンダーメンバーでも、劇場公演のステージに立ってファンの声援を受け、次のチャンスを掴むべく努力するモチベーションを維持することが比較的に容易である。

一方で、専用劇場を持たない乃木坂46のアンダーメンバーは、そんな機会もなく、ファンと触れ合えるのは、握手会だけなのだ。

陽の当らないレッスンスタジオで、ひたすらレッスンに励むしかないのである。

乃木坂46のメンバーにとって、選抜メンバーに選ばれるか否かは、AKB48以上に大きな意味を持っている。

そして運営は乃木坂46の創成期に、選抜発表の様子それ自体をイベント化して、ファンの関心を煽り、グループの人気を挙げようとしてきた。

その舞台となったのが、冠番組”乃木坂ってどこ?”(後の乃木坂工事中)である。

そこでは、選抜発表を巡って様々な人間模様が展開され、笑顔と涙が交錯するドラマが生れていた。

この記事では、デビューシングル”ぐるぐるカーテン”の選抜発表の様子をふり返り、そこで目撃されたメンバーの笑顔と涙の意味を考えてみたい。

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”乃木坂46の顏”としてのセンター生駒里奈の誕生と”御三家”と”生生星”(いくいほし

デビューシングル”ぐるぐるカーテン”、2012年2月22日リリース
累計売上21.4万枚。

作曲は黒須克彦、編曲は湯浅篤が担当した。

ぐるぐるカーテンフォーメーション

ぐるぐるカーテン MV(Full ver.)


監督:操上和美(くりがみかずみ・大御所写真家で映像作家・多数の受賞歴がある・撮影当時76歳だった)
振付:南流石
ロケ地:にしすがも創造舎(旧豊島区立朝日中学校)

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記念すべきデビューシングルの選抜メンバー16人が選ばれた、センターは生駒里奈

2011年8月、36人の乃木坂46の一期生メンバーが誕生し、その中から暫定的に16人の選抜メンバーが選ばれ、メディアに向けて発表された。

それが乃木坂46最初の選抜メンバーである。

▼暫定選抜メンバー(16人)

【前列左から】桜井玲香、秋元真夏、吉本彩華、市来玲奈、橋本奈々未 【中列左から】白石麻衣、生駒里奈、松村沙友理、大和里菜、畠中清羅 【後 列左から】高山一実、中田花奈、和田まあや、星野みなみ、生田絵梨花、宮澤成良

乃木坂46では、グループ発足と同時にメンバーの選別が始まっていたのである。

デビューシングルのリリースが、2012年2月22日に設定され、36人の一期生たちは、その選抜メンバーに選ばれることを目標にして、連日レッスンに励み、汗を流すこととなった。

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早くも活動を辞退するメンバーが‥‥

その中で、36人の中から早くもグループから脱落するメンバーが出てしまった。

最初に脱落したのはなんと暫定選抜メンバーのセンターに選ばれていた吉本彩華であり、もう一人が山本穂乃香だった。

▼左:吉本彩華、右:山本穂乃香

乃木坂46の運営は、2011年9月22日をもって、2人が乃木坂46の活動を辞退したことを発表した。

二人の活動辞退の理由について、当時運営は次のように伝えている。

山本穂乃果、吉本彩華の2名については、本人の申し出により、乃木坂46のスターティングメンバーを辞退することになりました。
本人、ご家族ともに悩みぬいた結論ですので、事務局としてもその考えを尊重したいと思い、皆様に発表させていただきます。

補足:しばらくして山本穂乃果は別の芸能事務所に入って芸能活動を再開、女優として細々と活動を続けている。2020年1月の舞台”ワタシの好きなぼうりょく”に出演することを自身のTwitterで告知している。

一方、吉本彩華のその後についての情報はまったく聞こえてこない。

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秋元真夏一時活動休止へ

さらに暫定選抜メンバーの1人秋元真夏が、しばらくの間学業に専念するという理由で、乃木坂メンバーとしての活動を一定期間休止することが発表された。

アイドルになりたいとオーディションに応募した彼女は、都内でも有数の名門女子校に通う高校生で、自身も生徒会長を務めるほどの優等生であった。

だが彼女が通う東京家政学院大学付属女子高等学校では、生徒の芸能活動は禁止されていた。

両親に内緒で乃木坂46のオーディションに応募していた秋元は、最終審査に残って初めてそれを両親に告げた。

それを聞いた母親は激怒して、秋元に活動を辞退するように言う。

しかしアイドルになることを諦めきれない秋元は、必死で母親を説得したのである。

その熱意に根負けした母親が、”学業を続けること・大学に進学すること”をアイドル活動を許すことの条件としたため、秋元は大学受験に合格するまで、まだ始まってもいなかった乃木坂46メンバーとしてのの活動を一旦休止することとなったのである。

秋元の懸命な努力が実って、2013年3月にお嬢さま学校として知られるフェリス女学院大学に見事合格を果たす。

そして4thシングルからようやく乃木坂46メンバーとしての活動を始めたのである。

そして秋元の活動復帰に際して、乃木坂46結成以来の大きなドラマが生れることになるのだ。(4thシングル”制服のマネキン”選抜発表の項で詳述)

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デビューシングル”ぐるぐるカーテン”の選抜メンバー16人が決まった

結局36人から3名減った33人の中から、デビューシングルの選抜メンバー16人が選ばれることとなった。

▼スターティングメンバー33人集合写真

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デビューシングル”ぐるぐるカーテン”選抜メンバー16名の発表

7福神(1列目3名と2列目4名)

発表の舞台となったのは、グループ初の冠番組”乃木坂ってどこ”(MC:バナナマン)である。
2011年11月7日の放送で、初めてその様子が放送された。

収録スタジオの控え室に、33人のメンバー全員が集められた。

▼緊張の面持ちで発表を待つメンバーたち

MCのバナナマンから、選抜メンバーの発表は運営事務局からメンバー個人の携帯電話への連絡で行うことが告げられる。
自分の携帯に電話がかかってくれば選抜入り、電話が鳴らなければ落選ということだ。
先ずは選抜メンバー16人の中でもさらに中心メンバーである”7福神”が指名された。

最初に携帯が鳴ったのは白石麻衣

緊張からか、喜びからか、泣きながら立ちあがって控室を走り出ようとする白石に何人かのメンバーから拍手が起こり、”おめでとう”の声がかかる。
最初に拍手を贈ったのは橋本奈々未のようであった。
白石は、その美貌からファンからの人気も高く、メディアからの単独取材も多く、このころからエースの呼び声が髙かった。
白石が7福神に選ばれたことはメンバーも納得であった。

白石は、バナナマンから心境を聞かれて
7福神に選ばれるかどうか不安だった。今はとても嬉しいです。
と涙ながらに答えている。

2番目に選ばれたのは松村沙友里
独特の感性で異彩を放つキャラは、一期生の中でもひと際目立っていた。
暫定選抜では7福神ではなかったが、デビューシングルでは見事に7福神を獲得した。
スタジオでバナナマンからコメントを求められても、まともに言葉にならず、ただただ”頑張ります”としか言えないくらい感情の高ぶりを見た。

▼泣きくずれる松村を抱き締める白石

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3番目に呼ばれたのは橋本奈々未
実はこの本番での選抜発表のしばらく前に、1回目の仮選抜メンバー16人の発表が行われていた。
事前に一度シミュレーションすることで、メンバーの意識を高め、奮起を促すことが運営の狙いであった。
その時橋本は選抜メンバーから漏れていた。
橋本にはこれまで歌もダンスも経験がなく、その分ハンディキャップを負っていた。
暫定選抜メンバーには選ばれたものの、1回目の仮選抜では落選していたのだ。
本番での大逆転の7福神入りであった。
橋本の7福神入りにはメンバーからひときわ大きな祝福の声と拍手が上っている。
いわゆるアイドルとは違った立ち位置で、一歩引いたところで自身やグループを客観視する橋本に、ほかのメンバーたちはこのころから信頼を寄せていたのだ。


1回目の仮選抜発表の時は、自分の力が足りていないことはわかっていた。その後のレッスンを頑張ってきたので、今回落ちたらショックだなと思っていた。(7福神に選ばれて)努力してよかったと思えた”と涙で語った。

デビューシングルの選抜発表で、最初に名前を呼ばれた白石麻衣・松村沙友里・橋本奈々未の3人は、後にファンから”乃木坂御三家”と呼ばれることになる。
まさに乃木坂御三家が誕生した瞬間であった。

4番目に携帯が鳴ったのは生駒里奈
生駒は、その圧倒的な透明感とキレのあるダンススキルで、当初から運営からの評価が髙かった。
しかし生駒自身は、元々のネガティブな性格から、自分にはアイドルとしての魅力が何もないと悩んでいた。

そんな中で記念すべきデビューシングルのセンターポジションに指名され、16人の選抜メンバーを率いる”乃木坂の顏”に指名されてしまったのである。

しかも本来ならセンターになるはずだった吉本彩華が突然活動を辞退したために、前に押し出される形でセンターになってしまったのだ。

“自分にはセンターになるビジュアルも人気も才能もない。” 生駒はそんな思いが拭えず、ずっとそれに苦しめられることになる。

秋元康総合プロデューサーは、2018年4月に生駒里奈の卒業公演に寄せた手紙でこの時の判断についてこんな風に書いている。

2011年8月21日、オーディション会場で初めて君に会った日のことを今でも覚えています。
審査員の大人たちの視線に居心地悪そうにしている姿が印象的でした。
でもその瞳の奥に何か強い意思を感じました。
センター候補だった他のメンバーが脱退した時、
僕は迷わず君を中心に乃木坂46を構成しようと思いました。
それから5作連続でセンターという重責を担った君は
心身ともに疲れ果てたことでしょう。
そんな君をイメージして書いたのが
「君の名は希望」です。
生駒里奈、君は乃木坂46を卒業しても、
ずっと、乃木坂46の希望でいてください。
秋元康

生駒にとって初めて聞く話であった。
もっと早く聞いていれば、乃木坂時代の生駒の悩みはもう少し軽くなっていたかもしれない。

草創期の乃木坂46をグループの顔である生駒里奈と後に御三家となる白石麻衣・橋本奈々未・松村沙友里の4人がビジュアルと人気の面でグループを牽引することになった。

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5人目に選ばれたのは高山一実だ。
(7福神)に選ばれても選ばれなくても、もっと自覚を持って、もっともと自分を引き締めなきゃなって思いました。

高山の表情には笑顔も涙もなく、強い覚悟だけが浮かんでいた。

6番目に電話が鳴ったのは生田絵梨花
自分には個性だと言えるものがないけれど、目の前のことを全力でやり続けたことが良かったんじゃないかなって思います。”

最後の7福神となったのは当時13歳の星野みなみ。
”選抜にも選ばれないと思っていたのに、7福神にえらばれてとても嬉しいです。”
運営は星野のアイドルとしてのポテンシャルを非常に高く評価していて、デビューシングルではフロントに起用し、将来の乃木坂46のエースに育てたいと考えていた。

この7人が7福神となったことで、暫定選抜の7福神からは、中田花奈・市來玲奈・桜井玲香の3人が脱落してしまった。

7福神に指名された7人の中で、白石・松村・橋本の大人メンバー3人が”御三家”として人気を博し、生駒・生田・星野の年少組3人は、”生生星”(いくいこぼし)と呼ばれてファンに愛されることとなる。

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3列目9名の発表

川村真洋逆転で選抜入り

次に携帯が鳴ったのは、圧倒的なダンススキルと高い歌唱力を誇る川村真洋であった。
川村は暫定選抜メンバーではなく、本番での逆転合格である。
バナナマンの問いかけに”嬉しい”とたった一言、笑顔で答える川村であった。

選抜入りしたものの7福神から脱落して悔し泣きする井上小百合

9人目の選抜入りは井上小百合
”おめでとう”と声をかけるバナナマンに、井上は泣きながら”悔しいですっ。私はもっと上を目指したかったです。”と答えた。

すでに日テレジェニックとして実績があった井上には強烈なプライドがあったのだ。

しかし、運営責任者の今野義雄は、いわゆる”芸能界の手垢がついたメンバー”には厳しい評価を下していた。

モデルとして活躍していた衛藤美彩深川麻衣も、広島でローカルアイドルとして人気があった中元日芽香もデビューシングルの選抜メンバーには入っていない。
井上にとっては、屈辱的な7福神落ちであった。

次に呼ばれたのは西野七瀬
当初運営からの西野の評価はそれほど高くなかった。
西野には、それがわかっていたので、まさか自分がデビューシングルの選抜メンバーに選ばれるとは思っていなかった。

▼選抜メンバーに選ばれてうれし泣きする西野七瀬

11番目に呼ばれたのは、暫定選抜で7福神のひとりであった中田花奈だ。
ここまで呼ばれなかった不安からやっと解放されて泣きじゃくった。

当初運営からの期待が髙かった中田だが、次第にそのポジションを失っていくことになる。
中田にとって辛いことが多い乃木坂人生の始まりとなってしまった。

次に携帯が鳴ったのは斉藤優里
優里は、ダンス落ちこぼれ3人組(優里と川後陽菜と松村沙友里だとされている)の1人だったので、本人もビックリの選抜メンバー入りであった。
自宅での自主練が実った“と本人は語っている。

次に呼ばれたのは齋藤飛鳥
自他共に認めるネガティブな性格で、”を評価してもらったのかわからないけど。(選抜メンバーに選ばれて)嬉しい”といかにも飛鳥らしいコメントを残した。
実際には、しなやかに踊ってみせる高いダンススキルと今後花開くであろうアイドルとしてのポテンシャルが高く評価されていたのである。

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暫定7福神の1人であった市來玲奈の携帯がなったのは、14番目であった。
7福神から脱落して、選抜落ちまで覚悟し始めた矢先に、やっと名前が呼ばれたのだ。

15番目の選抜メンバーは能條愛未
暫定選抜メンバーには選ばれていず、予想外の選抜入りである。

16番目、最後に選抜メンバー入りを果したのは、暫定7福神の1人、桜井玲香であった。
”(ずっと電話が鳴らなくて)もうダメだと思っていたので、涙も出ません。”と正直な思いを披露した。

バナナマン設楽から、”中田が呼ばれた時に号泣してたね。”と声をかけられて頷く桜井。
こらえきれずに桜井が顔を押さえて泣きだすと、それを見ていた中田も顔を覆って泣きだしてしまった。

秋元康総合プロデューサーからのメッセージ

16人の選抜メンバーが発表された後、秋元康総合プロデューサーは、落選となったメンバーに向けてこんなビデオメッセージを贈った

残念ながら選抜メンバーに選ばれなかった皆さん、がっかりしないでください。
これはまだスタートですから。
1回目の選抜に選ばれないからダメんなんだということではなくて、デビュー曲はこういう感じでいってみようかということで、楽曲のテイストであるとか、あるいはタイアップの状況であるとか、そういうことで今回はこういうメンバーでいこうということになりました。
まだスタートしたばっかりなので、誰が優れてて、誰が劣っているとかいうことはないです。
自分の色を見つけて、乃木坂46にはこの色は欠かせないだろう、そういう色を出せるように、これから頑張ってください。
期待しています。

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