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3期生の合流でようやくスタートラインに立てた櫻坂46~8年の時を経て、欅坂46の呪縛、平手友梨奈の呪縛から解き放たれた~

アイドル

欅坂46の呪縛、平手友梨奈の呪縛から解き放たれた櫻坂46

2023年10月18日リリースの7thシングル”承認欲求”で、3期生11名が合流、初めて選抜制が導入された櫻坂46。

乃木坂5期生にも引けをとらない高いポテンシャルを持つ櫻坂46の3期生がいよいよ戦列に加わって、櫻坂46の戦闘能力は大幅にアップした。

ファンはもちろんだが、実はこのことを一番喜んでいるのは、運営の最高責任者の今野義雄氏(以後文中敬称略)であるに違いない。

その理由は、これで櫻坂46がようやく欅坂46の呪縛平手友梨奈の呪縛から解き放たれることができたからである。

このことを理解するには、欅坂46の結成時にまで時間を戻さなければならない。

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合格者をわずか22名しか出せなかった欅坂46の1期生オーディション

乃木坂46に続く第2の坂道プロジェクトとして歩み始めた欅坂46。

2015年夏にスターティングメンバーオーディションが行なわれ、22,509名の応募者の中から22名の合格者が発表されたが、1人の辞退者が出たため、欅坂46の1期生は21名での活動を開始した。

欅坂46の運営を担当したのは、乃木坂46と同じくソニーミュージックエンタテインメント(SME)であり、運営委員長には乃木坂46と同じくSMEの今野義雄が就任した。

今野義男は、欅坂46が誕生した日からグループの未来に危機感を抱いていた。

それはオーディションの合格者をわずか22名しか出せなかったからである。

2011年の夏に行われた乃木坂46のオーディションには、38,934人の応募者が集まり、36名の1期生を誕生させ、その中から暫定的に16人の選抜メンバーが選ばれ、メディアに向けて発表された。

乃木坂46では、結成当初から選抜メンバーと非選抜メンバー(=アンダーメンバー)というグループ分けが行なわれた。

それは先輩グループAKB48に倣(なら)ったもので、選抜メンバーが体調不良や学業の都合などで、一時的に活動を休まなくてはならなくなった時、その穴を埋める要員としてアンダーメンバーが上手く機能していたのを見てきたからである。

今野は欅坂46にも選抜制を導入し、AKB48や乃木坂46と同様の体制を整えようと考えていた。

ところが、欅坂46の1期生の合格者はわずか21名で、乃木坂46の36名にはるかに及ばなかった。

わずか21名では選抜制を行うことはできない。

今野は欅坂46のマネージメントに最初から危機感を感じてしまった。

そしてすぐに欅坂46の追加メンバーオーディションの開催を考え始めたのである。

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ひらがな”けやき坂46”誕生の経緯

欅坂46の合格者21名が、乃木坂の36名と比べて少なかったのは、有り体に言ってしまえば”応募者のレベルが低かった”からだ。

それは、乃木坂46オーディションの応募者が38,934人であったのに対し、欅坂46では22,509名の応募者しか集められなかったことも原因の一つだったろう。

欅坂46のオーディションで”S”(”S”はスペシャルを意味している)評価だったのは、平手友梨奈と長濱ねるの2人だけだ。

その一人の長濱ねるは、最終審査の直前に母親の猛反対に遭い、最終審査当日に故郷の長崎に連れ戻されてしまった。

ねるは泣き疲れ、表情を無くして、故郷の長崎で無気力な日々を過ごしていた。

それを見かねた父親と姉、そして母親との間で家族会議が開かれ、その結果、父親が”ねるにもう一度チャンスをもらえないか”と運営に連絡をしてきた。

一方で”S”評価の長濱ねるを何としても欅坂46に加入させたいと考えていた今野は、秋元康総合プロデューサーと協議を重ねた。

そこで生まれたアイデアが、ひらがな表記の”けやき坂46”というグループを作ることであった。

最終審査を受けていない長濱ねるをそのまま裏口入学のように欅坂46メンバーにするわけにはいかない。

そんなことをすればねるはファンからバッシングを受け、他のメンバーからも孤立してしまうことは明らかだった。

事実、長濱ねるは2015年の11月放送の欅坂46の冠番組”欅って、書けない?”の中で、新メンバーとして紹介されるのだが、その収録の合間で、ねると同じように両親の猛反対にあったものの、アイドルと学業とを必ず両立させることを条件に、両親を説得してオーディションに応募して合格にこぎつけた米谷奈々未から

”ごめんやけど、私、仲良くなられへんと思う”

とはっきり宣言されている。

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今野義男の、すぐにも追加メンバーオーディションをやりたいという思いと長濱ねるをどうしても欅坂46に入れたいという2つの願いを同時に解決する方法が”けやき坂46”というグループを作るというアイデアにつながったのだ。

2015年11月、長濱ねるはたった一人の”けやき坂46”のメンバーとしてお披露目され、同時にメンバーの追加オーディションの開催が告知された。

2016年5月8日、追加オーディションの合格者11名が発表され、長濱ねるを含め12名のメンバーで”けやき坂46”の活動が始まった。

今野は、これで欅坂46にも選抜制を導入することができると胸をなでおろしたのである。

予想外の欅坂46の快進撃で放置されたけやき坂46、2期生が加入して欅坂46からの決別を果たす

欅坂46の1期生メンバー21名はおよそアイドルらしくなかった。

総じて人見知りで、暗いのだ。

その中でも平手友梨奈は特異な存在感を放っていた。

人見知りで俯きがち、時折反抗的な光りを宿す彼女の瞳からインスパイアされ、秋元康総合プロデューサーは”サイレントマジョリティ”の歌詞を書き下ろす。

最年少メンバー平手友梨奈をセンターとし、21名全員でのパフォーマンスでデビューシングル”サイレントマジョリティ”をリリースした欅坂46。

徹底して平手友梨奈をフィーチャ―したTAKAHIROの振り付けとも相まって、1stシングル”サイレントマジョリティ”と平手友梨奈は衝撃的なデビューを飾る。

社会現象にまでなった”サイレントマジョリティ”はアイドルファンを超えて、一般層にまで届いた。

今野の不安をよそに平手友梨奈率いる欅坂46は21名での全員選抜を維持しながら快進撃を始めてしまった。

6thシングル”ガラスを割れ!”で初のミリオンセールスを達成。

乃木坂46でさえ4年以上かかったミリオンという偉業を欅坂46はわずか2年余りでやってのけたのである。

その裏で、欅坂46のアンダーグループだったはずの”けやき坂46”は、放置され続け、出口の見えないトンネルの闇の中に置き去りにされた。

それでも、今野が抱いていた欅坂46に対する不安は、消えることはなく、カリスマセンター平手友梨奈一人に頼っているこの体制は長くは続かないだろうと感じていた。

そして、長らく放置し続けたひらがなけやきのメンバーのポテンシャルの高さに、遅ればせながら気づいた今野は、けやき坂46を欅坂46から完全分離し、ハッピーオーラをキャッチコピーとする独立したアイドルグループとして売り出す方向に大きく舵を切る。

2017年5月に追加メンバーオーディションを開催、同年8月13日けやき坂46の2期生9名が加入して、けやき坂46は新たな道へと踏み出した。

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欅坂46の崩壊と櫻坂46の誕生

5thシングル”風に吹かれても”で選抜制の導入を図るが平手友梨奈の猛反対によって失敗!

平手友梨奈1強体制の欅坂46にはいろいろな部分で歪みが生じ始めていた。

何よりパフォーマンスの質に命を削る平手友梨奈と他のメンバーとの温度差。

パフォーマンスを突き詰めるあまり、たびたび身心に変調を来し、ライブを欠場することもしばしばになってしまった平手友梨奈。

今野の不安はやはり的中してしまった。

今野はずっと胸に温めていた計画をいよいよ実行する時が来たのだと感じた。

平手友梨奈1強体制からの脱却とシングル楽曲のダーク路線からの方向転換を目指して、5thシングル”風に吹かれても”で、欅坂46とひらがなけやきをシャッフルした32名での選抜制を導入することをメンバーに発表する。

2017年7月、今野は運営事務所に集めた欅坂46メンバー21名とけやき坂46メンバー11名を前にして、5thシングルの選抜メンバー18名の名前を発表したのである。

欅坂からはセンター平手友梨奈を含む15名が選ばれ、けやき坂からは、佐々木久美・佐々木美玲・加藤史帆・齊藤京子・潮紗理菜の5名(後のひらがなユニット”りまちゃんちっく”)が選ばれた。

ようやく日の当たる場所へ出ることができる。

選抜メンバーに抜擢された”けやき坂46”の5人は涙を流して喜び合った。

ところが、欅坂の絶対的センター平手がこのプランに公然と反旗を翻す。

”21人で欅坂なんです。選抜にするなら私はもうやりません。”

と今野に向かって言い放つ。

平手のこの発言で場は凍り付き、涙を流して喜んでいたひらがなけやきの5人は絶句して俯いてしまった。

シーンとしてしまった中で、欅坂メンバーから徐々に声が上がり始める。

”私もそう思います。” ”私も!‥”

今野ら運営スタッフは懸命に説得に当たったが、平手らを納得させることはできなかった。

最後は平手の”私が秋元さんと話してくる”という言葉で決着がついた。

すぐに平手と秋元氏の話し合いが行われ、今野の思惑はあっさりとひっくり返されてしまう。

”5thシングルはこれまで通り21名選抜でいく”

との連絡が秋元氏から今野にもたらされた。

アイドルグループの1メンバーが運営のトップが決めたことをひっくり返すことなど前代未聞であり、あってはならないことのはずだった。

しかし、平手友梨奈の才能に惚れこみ、溺愛した秋元康総合プロデューサーは、今野義男の面子より平手友梨奈の願いを優先したのだ。

この事件で、平手友梨奈と今野義男の信頼関係は無残に砕け散り、今野は他のメンバーからの信頼をも失ってしまった。

それでも欅坂46のシングル売り上げは右肩上がりを続け、6th、7th、8thとミリオンセールスを連発した。

その裏で、平手友梨奈の心身の不調はさらに悪化し、2018年1月末の日本武道館ライブは中止に追い込まれ、その肩代わりを”ひらがなけやき”に託す羽目に陥いってしまう。

信頼関係を失い、内部崩壊を始めた欅坂46。

懸命に前を向き、メンバーが一枚岩になって苦しさを乗り越えたけやき坂46。

かつて、選抜とアンダーという関係だった欅坂46とけやき坂46は、ここに来て大きく明暗を分けることになったのである。

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9thシングルで2度目の選抜制導入を強行し、内部から崩壊してしまった欅坂46

平手友梨奈の心身の不調が悪化の一途を辿り、たびたびスケジュールの変更を余儀なくされた欅坂46。

平手友梨奈一人に掛かっている負担を軽くすることと、平手友梨奈欠場の場合のパフォーマンスのクオリティの低下を少しでも防ぐために、どうしても選抜制の導入が必須であるという今野義男の考えは確信に変わっていた。

そして9thシングルでの2度目の選抜制導入を試みる。

今回は、坂道合同オーディションで合格し欅坂2期生として加入した9名を含めた30人体制での選抜制導入で、平手1強体制からの脱却を目指し、①シングル楽曲の路線の変更と、②メンバー全体のレベルアップの2つを狙いを持っていた。

5thシングルでの選抜制導入失敗の轍を踏まぬよう、秋元康総合プロデューサーにも十分な根回しを済ませて、平手友梨奈やメンバーがどんなに反対しても選抜制の導入を必ず実現するという不退転の決意で臨んだのだ。

今野は、30名の欅坂46全メンバーを前にして、9thシングルの選抜メンバー17人の名前を発表、その模様が2019年9月8日の”欅って、書けない?”で放送された。

それは、運営の固い決意の表明であり、選抜制の導入を強引に既成事実にしてしまうという狡い大人の戦略でもあった。

★発表された9thシングルフォーメーション(17名)
3列目:土生瑞穗、渡辺梨加、井上梨名、原田葵、関有美子(2期生)、上村莉菜、藤吉夏鈴(2期生)
2列目:武元唯衣(2期生)、菅井友香、森田ひかる(2期生)、守屋茜、佐藤詩織
1列目:平手友梨奈(センター)、小林由依、松田里奈(2期生)、田村保乃(2期生)、渡邉理佐

欅坂46の1期生11名、2期生6名による17人の欅坂46初の選抜メンバーであった。

多くのファンは、選抜制の導入そのものに驚いただけでなく、人気メンバーであった鈴本美愉小池美波らが選抜メンバーから漏れていたことで騒然となり、欅坂46の内部で何が起こっているのか?と疑念を抱くファンも多かった。

欅坂46には不穏な空気が漂っている。

ファンが感じている不安は次第に現実となっていく。

今野と秋元康総合プロデューサーが9thシングルとして考えていた楽曲は、”10月のプールに飛びこんだ”であった。

これまでの表題シングルでは、”僕vs社会”や、”僕vs大人たち”という構図で、若者たちの苛立ちや苦悩をぶつけて来たのだが、この楽曲”10月のプールに飛び込んだ”での”僕”の悩みは、一転して青春の一時期のモヤモヤや不満といったものにスケールダウンしている。

曲調も、不協和音以来のダークなものから、”世界には愛しかない”や”二人セゾン”のような明るいテイストに回帰していた。

内部に混乱を抱えてしまった欅坂46の現状を、この楽曲で新たな路線にソフトランディングさせたい運営の意図が透けて見える。

だがその中途半端さを見逃さなかった平手友梨奈は、”この楽曲を表現することはできない”と言い放ち、制作に入っていたMVのロケをドタキャンしてしまう。

運営は平手友梨奈の説得に全力を傾けるが、平手の意志は固く、9thシングルの製作はストップしてしまった。

このことで、メンバーからの信頼を失った運営は、平手友梨奈だけでなく多数のメンバーから、9thシングルでの選抜制導入そのものを拒否され、ついにこの曲の10月リリースを断念せざるを得ない状況に追い込まれてしまう。

地上波の冠番組で発表したシングルのリリースが、メンバーの反対によって中止になってしまうという、アイドル史上で前代未聞の事態が起こってしまったのである。

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9thシングルのリリースが中止となり、欅坂46から櫻坂46へ改名

その後9thシングルについては、一切の情報が出てこなくなり、キャプテンの菅井友香の”年内にはなんとかリリースできると思う”などの発言もあったが、結局それも叶わなかった。

2020年2月、平手友梨奈や鈴本美愉らの脱退・卒業が突如発表され、9thシングルは幻と消えてしまった。

平手友梨奈と今野義男は最後まで分かり合うことができなかった。

平手友梨奈という絶対的エースを失ってしまった欅坂46は、その後も運営方針が定まらず、ついに運営は”欅坂46の改名”を決断する。

欅坂46結成当初21名だった1期生は、2020年9月現在11名にまで減っていた。

ことここに至って、運営は欅坂46としての活動継続を断念、2020年7月の配信ライブ”KEYAKIZAKA46 Live Online, but with YOU!”の中で、10月をもって欅坂46の4年余りの歴史に幕を閉じ、新グループに改名して、新しく生まれ変わることを発表する。

新グループの名前は”櫻坂46”と発表された。

2020年10月12・13日に国立代々木競技場第一体育館で行われた”欅坂46 THE LAST LIVE”が”欅坂46”としての最後のライブとなった。

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不安を抱えたままでの櫻坂46の船出

コロナ渦の中、不安が一杯の櫻坂46のスタート

2020年10月14日、櫻坂46が正式に活動を開始した。

1期生11名・2期生15名、全メンバー26名での船出であった。

1期生:11名 上村莉菜、小池美波、小林由依、齋藤冬優花、土生瑞穂、尾関梨香、菅井友香、原田葵、守屋茜、渡辺梨加、渡邉理佐

2期生:15名(坂道合同オーディションからの配属メンバー9名+坂道研修生からの6名) 井上梨名、遠藤光莉、大園玲、大沼晶保、幸阪茉里乃、武元唯衣、田村保乃、藤吉夏鈴、増本綺良、松田里奈、森田ひかる、守屋麗奈、山﨑天

改名はされたものの、メンバーの動揺は収まる気配がなく、特に1期生からは今後卒業するメンバーが続くというのが関係者の見方であった。

櫻坂46デビューシングル”Nobody’s fault”をリリース

新生櫻坂46のデビューシングル”Nobody’s fault”は、改名直前に行われた”欅坂46 THE LAST LIVE”の最終日(2020年10月13日)、セットリストの最後の楽曲として初披露された。

2020年12月9日にリリースされた櫻坂46のデビューシングル”Nobody’s fault”は、初日で30.8万枚を売り上げた。

欅坂46の最後のシングル8th”黒い羊”(2019年2月27日リリース)の初日売り上げは54.5万枚であった。

コロナ渦もあって、平手友梨奈がいない櫻坂46のデビューシングルの売り上げ40.9万枚をどう評価するかはとても難しいが、今野義男はよく健闘したと考えていた。

2020年12月31日放送のNHK紅白歌合戦にも”Nobody’s fault”でなんとか出演を果たせた。(欅坂から連続5回目)

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”櫻エイト”は、苦心の末の変則的な選抜制だった

欅坂1期生の人気メンバーがほとんど脱退・卒業してしまった櫻坂46を引っ張っていくのは、必然的に2期生の役割りとなった。

そんな2期生の中で、今野義男と秋元康総合プロデューサーが櫻坂46のデビューシングルのセンターに指名したのは森田ひかるであった。

149.8cmと櫻坂46の中では最も身長が低かった森田ひかる。

本格的なダンス経験はなかったが、二重の目力を生かしつつ、自分の小柄な体型からは信じられないくらい大きなパフォーマンスができるメンバーだった。

カッコいい楽曲ではカッコいい表情や、クールな表情を見せ、可愛い楽曲ではアイドルらしい可愛さや可愛らしい笑顔を見せる。

儚い楽曲では透明感を演出させ、見ている側にも儚さを与える。元気な楽曲では笑顔全開で元気に踊るという天性の表現力が森田の魅力であった。

”Nobody’s fault”の歌唱メンバーは14名、坂道グループの表題曲の歌唱人数としては歴代最少人数である。

そしてこの14名を選抜メンバーとは呼ばずに、1列目・2列目の8名を”櫻エイト”と命名し、すべてのカップリング曲(6曲)の1列目と2列目を櫻エイトが務めるという変則的なシフトを敷く。

デビューシングルの櫻エイト(8名):菅井友香、小林由依、渡邊理佐、小池美波、森田ひかる、藤吉夏鈴、山﨑天、田村保乃

3列目は”バックス”と呼ばれ、曲ごとにメンバーが入れ替わった。

これにより櫻坂46のメンバーは、”櫻エイト”8名とそれ以外の18名に明確に二分されてしまった。

これを選抜制とは呼べない。

今野はそう考え、苦肉の策として”櫻エイト”という名前を付けたのである。

”櫻エイト”の狙いは、楽曲のクオリティとパフォーマンスの質を維持することにあった。

ポテンシャルが高い8名のメンバーに全曲に参加させてクオリティの低下を防ごうとしたのである。

これによって櫻エイトメンバー8人の負担はバックスメンバー18人と比べものにならないくらいい大きくなった。

ライブを行えば、櫻エイトの8名はほぼ”出ずっぱり”である。

それに対してバックスメンバーは、2~3曲しか出番がない。

乃木坂46が採用している選抜メンバーとアンダーメンバーの間には大きな格差があるが、櫻エイトメンバーとバックスメンバーの格差はさらに大きいものになっているのだ。

この櫻エイトシステムは、2ndシングル”BAN”(センター森田ひかる)まで続けられたが、3rdシングル”流れ弾”(センター田村保乃)であっさりと捨てられてしまった。

そもそも、今野義男がこんな変則的なシステムを採用した理由は何なのか?

有り体に言ってしまえば、18人のバックスメンバーを低く評価していて、そのパフォーマンスに不安を抱いていたからだ。

これは今野が欅坂46結成時の21名のメンバーに抱いていた不安とまったく同じである。

櫻坂46にも欅坂46の呪縛がついて回っていたのだ。

2nd以降もシングルの売り上げは低迷を続けてしまう。

そんな中、危惧されていた1期生の卒業が相次ぎ、2022年11月9日にキャプテン菅井友香が卒業した時点で櫻坂46は、わずか19人の小さなグループになってしまった。

欅坂46時代から連続出場を続けてきた大晦日のNHK紅白歌合戦への出演も2021年で途切れ、2022年は3坂道で櫻坂46だけ紅白に出演できないという屈辱も味わった。

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ライブチケットが売れない櫻坂46

櫻坂46は、パフォーマンスを”売り”にしているグループなのに、ライブのチケットが完売できないという大きな問題を抱えている。

2022年9月29日から11月9日にかけて、全国6か所12公演が行われた”櫻坂46ライブ2nd TOUR 2022 As you know?”でも、宮城の2日目、平日だった大阪の1日目、やはり平日だった広島公演は2日とも完売できなかった。

ツアーファイナルとなった2022年11月9・10日の東京ドーム公演では、売れ残った空席を暗幕を張って隠す処置が行なわれたことから、”東京ドーム公演はまだ早かった”というファンからの厳しい声も上がった。

2023年4月12日~6月1日にかけて行われた全国5箇所11公演の”櫻坂46 3rd TOUR 2023”では、改善の兆しが見えたが、それでも東京公演2日間とも、愛知公演2日間とも、大阪公演2日間とも当日券の販売が行なわれた。

キャプテンの松田里奈は、TOURファイナルとなる大阪城公演初日の前日(5月30日)のブログでライブのチケットを完売できないことについて、”自分たちの力不足だし、とても悔しい”と綴った。

松田里奈のブログは、こちらから

その甲斐あって大阪城ホール公演初日(5月31日)のチケットはギリギリで完売した。

平手友梨奈というカリスマを得て、あっという間にアイドル界の頂点に駆け上がり、ミリオンセールスを連発したスーパーアイドルグループ欅坂46の面影は、もはや微塵も残っていない。

乃木坂46からは大きく後れをとり、かつて自身のアンダーグループであった日向坂46の後塵を拝するようになり、すっかり坂道3グループの最下位が定位置となってしまった。

そんな中にも、微かな希望の光が射したのは、”咲かないひとは、いない”というテーマで、2022年6月に募集を開始した”櫻坂46新メンバーオーディション”に、グループ最多の45,014人の応募があったことだ。

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櫻坂46の逆襲が始まる~3期生の合流で変わった潮目~

2023年3月5日の3期生の合流で潮目が変わった

低迷が続く櫻坂46で、久々の明るい話題となったのが6thシングル(2023年6月23日リリース)”Start over!”がロケットスタートを切ったこと。

5thシングル”桜月”は、作品としての完成度は高かかったが、やや抒情に流れたテイストがBuddiesには刺さらなかったのかもしれない。

センターに藤吉夏鈴という変幻自在の表現者を迎て、狂気をはらんだ藤吉のパフォーマンスを前面に押し出した6thシングル”Start over!”は、ひさびさにBuddiesに刺さったようで、前作比125,8%の43.9万枚という初週売り上げを叩きだした。

これは日向坂46の10thシングル”Am I ready?”の初週売り上げ44.8万枚に迫る数字で、日向坂46の背中がハッキリと見えたと言ってもよい数字である。

このロケットスタートの原因はもう一つある。

それは、グループ史上最多の45,014人の応募を集めた”櫻坂46新メンバーオーディション”の合格者11名が、櫻坂46の3期生として加入したことである。

2023年1月5日に公式サイト上で発表された3期生11名は、そのスペックの高さと高いポテンシャルを感じさせるビジュアルでファンを魅了した。

3月4・5日に行われた”櫻坂46 三期生おもてなし会”(ぴあアリーナMM)でそれは確信に変わった。

5thシングル”桜月”に収録されている初めての3期生楽曲”夏の近道”(井上トモノリ作曲)には、キラキラとした青春感が溢れていて、櫻坂46のニューカマーである3期生のデビューにピッタリの楽曲だった。

6thシングル”Start over!”に収録されている3期生楽曲”静寂の暴力”では、サイレントマジョリティから黒い羊に連なる欅坂46の系譜を、正しく継承している。

3期生のグループ加入によって2023年1月時点で、櫻坂46は1期生5名(7thで卒業の土生瑞穂を含む)、2期生14名(活動休止中の遠藤光莉と4月卒業の関有美子を含む)、3期生11名の総勢30名体制になった。

櫻坂46史上でメンバーが30名を超えたのは初めてであり、3期生の11名は未来に大きな可能性を秘めている。

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欅坂46の呪縛から解き放たれた櫻坂46

7thシングル”承認欲求”で初めて選抜制が導入され、期待の3期生4名が選抜入りした。

7thシングルであえて”初めての選抜制”を導入したとしたのは、”櫻エイト”という変則的で歪な選抜制を採用した過去の黒歴史を否定したかったからもしれない。

”承認欲求”櫻坂46 7thシングルでついに3期生が合流して選抜制が導入された。センターは森田ひかる(3度目)、フロントには期待の3期生 谷口愛季と山下瞳月が抜擢された!
櫻坂46の7thシングル”承認欲求”に期待の3期生が合流!4名が選抜入り、谷口愛季と山下瞳月はいきなりフロント抜擢! ”承認欲求”は、2023年10月18日リリースの櫻坂46の7thシングル。 このシングルでは、始めて3期生が参加、1期から...

高いポテンシャルを秘めた3期生が加入して、櫻坂46の戦闘力は、櫻坂46史上最強となった。

欅坂46の結成以来、今野義男が8年の長きにわたって抱き続けてきた危機感からやっと解放される時がきたのかもしれない。

櫻坂46が、欅坂46の呪縛、平手友梨奈の呪縛から解き放たれて新たな未来を紡ぐ時が来たのだ。

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