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乃木坂46 7thシングル選抜発表エピソード~”バレッタ”での堀未央奈のセンター抜擢が一期生と二期生との確執を生む~

アイドル

7thシングル”バレッタ”選抜発表!~”堀未央奈は乃木坂46の未来である”秋元康総合プロデューサーのこの思い込みが乃木坂46に波乱を巻き起こす~

7thシングル”バレッタ”2013年11月27日リリース
累計売上51.6万枚(前作”ガールズルール”45.9万枚比112%)となり初のハーフミリオンを達成した。

このシングルでセンターに抜擢されたのは、当時まだ研究生(後の二期生)である堀未央奈であった。

オーディションで堀未央奈を見た秋元康総合プロデューサーが一目で惚れこみ、”堀未央奈は乃木坂の未来だ!”と言わしめた素材だった。

6th”ガールズルール”で初めてセンターに立ち、セールス面でも40%アップを達成したエース白石麻衣が、7thシングルでもセンターになるだろうとメンバーの誰しもが思っていた。

だが、秋元康総合プロデューサーが7thシングルのセンターに指名したのは、まだ何の実績もない研究生の堀未央奈であった。

7thセンター発表後白石は泣き崩れ、メンバーたちが彼女に駆け寄る。

ほかの一期生たちもみんな泣いていた。

当の堀は、自分の身に何が起きているのか理解できず、ただ茫然としていた。

秋元康総合プロデューサーの思い込みで起こったこの出来事が、一期生と二期生の間に深い溝を作り出し、その軋轢は後々まで禍根を残すこととなった。

そしてその後、堀未央奈は激動のアイドル人生を歩むことななるのである。

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謎多き”バレッタ”のMV

監督:江湖広二
クリエイティブディレクター:権八成裕

”制服(セーラー服)は最強!”をテーマに作られた作品。

美少女たちを生きたまま剥製にして売るという闇の組織に囚われた堀未央奈を、白石麻衣ら8人(8福神)がそれぞれの武器を持って救出し、組織を壊滅するというストーリー。

▼秋元真夏・中元日芽香・寺田蘭世による”バレッタ”MVのコメンタリー動画

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MVのあらすじ~謎めいたストーリー~

組織のボス・マエストロ(演:手塚とおる)が捕われて泣き叫ぶ美少女(伊藤万理華)を剥製にするために薬液を注射するという衝撃的なシーンで始まる。
背中を向けている少女?に向って、間近に控えた商談会のために、もっと良い素材を集めろと命じるマエストロ。
迎えた商談の日、ステージにはすでに剥製にされてしまった少女たち(伊藤万理華・中元日芽香・深川麻衣ら)が飾られている。
ステージに美少女(堀未央奈)が呼ばれ、次の作品となる特別な素材と紹介される。
ガソリンスタンドで働く白石麻衣、喫茶店でおしゃべりしている若月佑美・生田絵梨花・生駒里奈、さらに西野七瀬、松村沙友里、橋本奈々未、桜井玲香ら(8福神)のスマホに、堀未央奈から”たすけて!”のメールが届く。
8人の少女たちが戦闘服であるセーラー服に着替えて堀の救出に向かう。
商談の会場に着いた少女たちの手には、それぞれが得意とする武器、マグナム44・マシンガン・日本刀などが握られている。
少女たちと闇組織による本格的なアクションシーンが展開され、最後は白石麻衣の華麗な日本刀の殺陣によって敵を倒してしまう。
捕らえられ縛られていた堀未央奈を救出して引き上げようとする9人。
その時先頭を歩いていた白石麻衣の背中を銃弾が撃ち抜く。
膝から崩れ落ち、前のめりに倒れ込む白石麻衣。
その銃弾を撃ったのはなんと堀未央奈だった。
まだ銃を構えたままの堀が
”だってこうするしかないじゃない”
と呟く。
我に返った橋本奈々未ら7人が堀に銃口を向ける。
銃声が聞こえMVは終わる。

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MVの解釈~7thシングルは、センター堀未央奈と二期生の未来に暗い影を落とすことに~

謎多きストーリーになっているが、前半でマエストロが声を掛けたロングヘアのセーラー服が堀未央奈で、実は彼女も闇の組織の一員なのだ。
そして堀を救出に来た8人のリーダー白石麻衣も闇の組織の一員だった。
堀はこの闇のビジネスを終わらせるために人質となり、その一員である白石麻衣を撃ち、それ7人に見せることで彼女らに自分を撃たせ、すべてを終らせたのだ。

そしてこの解釈がさらにファンの憶測を掻き立てることになる。

つまり、前作の6thシングルのセンター白石麻衣を撃ち殺してでも7thのセンターの座を奪いとる、つまりは”先輩をであろうとセンターの座を奪いとる”という二期生としてのこれからの乃木坂46に対する決意を表明しているMVだというもの。

無論この筋書きを描いたのは運営で、”一期生と二期生を競わせる”というのが運営の狙いだ。

7thシングルのセンターに何の実績もない研究生の堀未央奈を起用したことで、一期生と二期生の間には不穏な空気が流れ始めているのに、さらにこのMVでは両者の対立を煽っているように見える。

7thシングル”バレッタ”は、二期生の未来に暗い影を落とすきっかけを作ってしまったのである。

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”真夏の全ツ”ファイナルのアンコールでサプライズ発表された7th選抜メンバー~堀未央奈初選抜・初センターの衝撃!~

2013年10月6日の「乃木坂46 真夏の全国ツアー2013 FINAL!」(東京・国立代々木競技場第一体育館)夜の部のアンコール、ステージ上のスクリーンに映像で7thシングル選抜メンバー17名がサプライズ発表された。

センターには当時まだ研究生だった二期生の堀未央奈が抜擢され、観客が大きくどよめいた。

同日(10月6日)深夜の”乃木坂ってどこ?”の放送の中で一般のファンに対しても発表された。

実は、メンバーにはこれにさかのぼること約1か月前の9月初旬の”乃木坂ってどこ?”の収録で、7th選抜メンバーについて知らされていたのである。

この日はMCのバナナマンの1人日村勇紀が体調不良で欠席し、設楽統がひとりで番組を進行している。

アシスタントの菊池優(テレビ愛知アナウンサー)がフォーメーションを発表して、その後選抜メンバーを17名を呼び来むという段取りで行われた。

選抜人数は6thシングルの16人から1人増えて初めて17人体制(5-4-8)となった。

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3列目:初選抜入りは、川後陽菜・衛藤美彩・中元日芽香の3人

★最初に名前が呼ばれたのは⑰番の高山一実
選抜入りは7回だが、前作で復帰した8福神からは漏れてしまった。
2回目ですねこの経験は 前回八福神に選んでいただいて 私で良かったのかなって ずっとこう思いながらだったんですけど きっと足りていない部分があったから 後ろに下がったっていう事だと思うので”
”最後列の端のポジション⑰で最初に名前を呼ばれると、おばあちゃんから”ギリギリの選抜入りだね”と言われてショックなので、数字ではなくアルファベットにして欲しいと言うのを忘れてました”と高山らしいコメントを残した。

★⑩番は伊藤万理華。2作連続で、3回目の選抜入りを果たした。
今回また連続で入ることができたんで 8枚目では自分のキャラをもっと出していきたいです。

★⑯番として次に名前を呼ばれたのは川後陽菜。初の選抜入りである。
2年間ずっとアンダーだったのでとても嬉しいです。今回選ばれたからには精一杯 爪痕を残せるように7枚目頑張っていきたいと思います”と語った。

★⑪番ポジションには衛藤美彩が初選抜入りした。
衛藤は、乃木坂46加入以前にすでに芸能界で実績(ミスマガジン2011グランプリ授賞など)を残していたことが、返って仇となりアンダーの常連となっていた。
当時、運営委員長の今野義雄は、衛藤のような芸能活動経験者を”手垢のついたメンバー”として選抜メンバーに入れることを嫌がっていたのである。
衛藤は、ファンから”無冠の女王”と呼ばれていた。

ずっと今までアンダーで やってきて 私が乃木坂46にいる意味とか いろいろ考えながら その1回1回のチャンスをやってきたというか だからむしろずっと選抜に選ばれることがなくて 乃木坂が大好きだから(選抜メンバーになれなくても)頑張っていこうって決意を固めてたんですよ  だから選ばれたのがちょっと信じられなくてこれでやっと応援し続けてくれたファンや家族に恩返しができた。
となかば選抜を諦めていたことを告白した。

★⑮番ポジに呼ばれたのはやはり初選抜の中元日芽香
アンダーが続き、自分は乃木坂に向いていないんじゃないかと悩むこともあったという。
ひめたんビームなど、アイドルらしいキャラでファンに支持されている中元に、初めてスポットライトが当たった。

★⑫番で呼ばれたのは齋藤飛鳥
1st、4thと今回の7thで3回目の選抜入りである。
今は自分に自信が持てていないので、7thの活動で自信を持てるようなりたい。なんかもう初選抜がいっぱい出たんで なんかそれですごい嬉しくて良かったです本当に
と初選抜の3人を自分のことのように喜ぶ飛鳥が少し眩しく見えた

★⑭番ポジは、深川麻衣
3rd以降選抜入りをずっと続けてはいるが、飛鳥と同様に自信が持てず、3人も初選抜メンバーが出たので、今回は選抜落ちを覚悟したようだった。
図らずも名前を呼ばれ、涙が溢れてしまった。
6枚目はメンバーのみんなとかに助けられる事ばっかりで、まだまだ自分の中で弱いところがあるんですけど、一個ずつ克服できるように頑張りたいと思います。ありがとうございます。”

★⑧番ポジは、秋元真夏
4thから連続して4回目の選抜入りだが、前作で8福神落ちし、今回も復帰はならなかった。
えっと4枚目で復帰させていただいて 八福神にさせていただいてすごく嬉しくて 6枚目のシングルで八福神から落ちてしまったので 次は八福神に入れるように頑張るって思ってたんですけど 今回はダメだったので もっと向上心を持って次は八福神に入れるようにがんばりたいと思います

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2列目は変則の4人体制

★⑥番としてよばれたのはキャプテン桜井玲香
連続選抜を続け、5作連続で福神にも選ばれている。
”ポンコツキャプ”などとファンからいじられているが、運営は桜井のキャプテンとしての仕事ぶりを評価している。
また八福神に選んでいただけて嬉しいなということと 今回は人数が増えたりだとか結構変化があるので 変わろうとしているグループを引っ張っていけるようにがんばります。

★⑨番ポジは若月佑美
3rdから5作連続で選抜メンバーだが、今作で初めて8福神となった。
いただいたお仕事とか 課せられたモノについては必ずこなして ちゃんと乃木坂に貢献できるような人間になりたいです。”と語った。

★⑦番ポジは生田絵梨花
連続選抜継続で、2nd以外はすべて福神に選ばれて、自他共に認める乃木坂の中心メンバーになりつつある。
最近は、ポジションで一喜一憂することもなくなり、精神的にも成長していることがわかる。
本当に一つ一つの場所で 自分の力を出して 頑張りたいと思います なんか今回大きな変化があって 動揺する所もあるんですけど 地に足をつけて頑張りたいと思います

★⑧番は生駒里奈、前作同様2列目である。
”(センターだった5作まで、)今までは息苦しかったが、6thからは自由で楽しかった。これからも与えられたポジションで、その場所でできることを精一杯頑張るつもりです。”と力強く答えた。

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衝撃だった堀未央奈(当時研究生)のセンター抜擢~わずか1回でセンター交代となった白石麻衣は、収録後に桜井玲香に縋って号泣した~

最後は1列目の発表。

★⑤番ポジは御三家の松村沙友里、全作品で選抜・福神を続けている。
今回もまたフォーメーションが変わって 新しい乃木坂になるのかなって思ったら これからの乃木坂がまた楽しみだなって思います。

★松村のシンメとなる①番には人気急上昇中の西野七瀬が入った。
全作選抜で3度目の8福神の西野が、初のフロント入りとなった。
不安しかなくて、(自分が1列目に立つことについて)良く思わない方もたくさんいらっしゃると思うので、それがすごい怖くて‥‥、それでも選んで良かったって思ってもらえるように全力で頑張りたいと思います。”と泣きじゃくりながら語った。

★④番ポジは橋本奈々未、全作品で選抜・福神を継続中だ。
多くの外仕事に呼ばれるようになり、この年(2013年)の7月期のフジ月9ドラマ”Summer Nude”にも出演を果たした。
▼SummerNudeの橋本奈々未

白石麻衣と二人で乃木坂46の知名度アップに貢献している2枚看板である。

いろいろその6枚目の期間でお仕事させていただいて感じたのは たぶんちゃんと自分をもってブレないでちゃんと自分なりに頑張っていけば 個人的にも周りのみんなにも良い影響がでるかなって事を学んだので 自分が正しいと思った方向で頑張っていければいいなと思います

★②番ポジで呼ばれたのはなんと白石麻衣
前作6thシングル”ガールズルール”で立派にセンターを務めあげ、セールス面でも前作から40%アップと実績を残して、今回もセンター最有力と思われていた白石麻衣。
本命と思われていた白石がたった1度だけでセンターから外されてしまったのだ。

6thで初めてセンターになって、嫌なこともあったし、背負わなければならないものもたくさんあった。みんなの支えがあったからセンターをやり切れた。みんなで力を合わせてここまで駆け上がってきた。今回フロントに選ばれたので、結果を残してさらにいい作品になるようにみんなで、頑張っていきたいなっておもいます。
スタジオでは、センターを外された悔しさを微塵も感じさせない優等生のコメントを語ったが、この収録後、白石はキャプテンの桜井玲香に縋って号泣するのである。

▼センターを外されて収録後に号泣する白石麻衣

結成以来乃木坂46を大きくするためにすべてを捧げてきた白石麻衣にとって、わずか1作でセンターを外されたことは、これまでの努力すべてを否定されたに等しかった。

最後に、7thシングルのセンターとして名前を呼ばれたのは、当時まだ研究生(後の二期生)の堀未央奈であった。

この1件で、白石ら一期生と堀未央奈ら二期生との間には、決定的な亀裂が生れてしまう。

そしてそれは乃木坂46の歴史に深い傷となって刻まれていくことになるのである。

運営はそれを予想することはできなかったのだろうか?

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研究生(二期生)堀未央奈のセンター指名で凍り付くスタジオ~一期生にライバルだと認識されてしまった二期生~

▼センターとして名前を呼ばれ、泣きじゃくる堀未央奈

この日スタジオの隅にパイプ椅子が並べられ、そこに研究生(正規メンバー昇格前の二期生)たちが座って、先輩たちの選抜メンバー発表を見学していた。
堀未央奈もその中にいて、最後列の端に座っていた。
服装は勿論私服である。

16人の選抜メンバーがすでに決まり、残るはセンターのみ。生駒里奈、白石麻衣の2人のセンター経験者はすでに名前を呼ばれている。
次に誰が呼ばれても”初センター”となる。
スタジオは異様な緊張感に包まれて、静まり返っていた。

そして呼ばれた名前は、”堀未央奈”。
誰も予想しなかった名前である。

堀未央奈って誰だ?
一期生メンバーも、MCの設楽統も聞いたことがない名前だった。

一瞬の間があって、それが研究生の名前だとわかり、スタジオが凍りつく。
スタジオの時が止ったように感じられた。

我に返ったMCの設楽が、弾かれたように”こちらへどうぞ!”と堀未央奈に向かって言葉を発した。
それに促されて堀が移動し始める。

その時初めてパラパラと拍手が起こった。
堀は顔を覆ったまま歩いていき、MCの設楽の隣に立つ。

今の気持ちは?と聞かれ

私は、(乃木坂46に)入ったばっかりで゙‥‥、まだみんなみたいにダンスとかもうまくなかったし‥‥、研究生だから、こんな素晴らしい位置に立たせてもらえるなんてまったく思っていなかったので‥‥‥。
全力で頑張ります。

と答えるのがやっとだった。

堀の挨拶の間、白石は身じろぎもせず、堀を見つめ続けていた。

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当事者である堀未央奈を含め、メンバー全員が今回の決定を受け止めきれずにいた。

それを予想していた運営は、メンバーへの手紙という形で懐柔を図った。

▼運営からメンバーへの手紙全文
乃木坂46のメンバーのみなさんへ
今回の選抜発表
皆さん驚かれた事と思います
いろいろな感情を
抱いたままだと思いますが
今はまだ何もない
センターを担う二期生・堀未央奈を
皆さんが力を合わせて育ててください
あなた達の行動が未来の乃木坂46を作ります
乃木坂46運営委員会

しかし、MCの設楽が読んだこの手紙の内容は、まったくメンバーには響かなかった。

自分の気持ちを整理出来ないままで、まだ一度も会話したこともない研究生の堀未央奈を育てろと言われても、受け止められるはずもない。

運営委員長の今野義雄は、メンバーと直接向き合って、自身の口で、自身の言葉で、メンバーにその想いを伝えるべきであった。

本来なら、可愛い後輩、頼れる先輩として出会うべきだった一期生と二期生。

一期生から見れば、堀未央奈=二期生たちは、いきなり自分たちの夢の場所を奪いに来たライバルとしてその前に立ちはだかったのである。

後に2代目キャプテンになった秋元真夏は、当時を振り返って、
私たちも二期生が入った時、正直、ライバル心のほうが強かったと思う。自分たち自身が確立してないところに新しい子たちが入ってきて、焦りが出ちゃって。なので、二期生には当時、つらい思いをさせちゃったと思います。
と語っている。(2019年11月5日日刊スポーツコラム坂道の火曜日”キャプテン鼎談”より)

白石麻衣と堀未央奈、さらには一期生と二期生の間に、埋めがたく深い溝が生まれた瞬間であった。

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堀未央奈をセンターに推したのは秋元康総合プロデューサーだった

堀のセンター抜擢を画策したのは、秋元康総合プロデューサーである。

乃木坂46の二期生オーディションで堀未央奈を見た秋元康総合プロデューサーが、その透明感や、神秘性に、アイドルとしての高いポテンシャルを感じたのだ。

当時秋元康総合プロデューサーは、乃木坂46の未来とは堀未央奈のことだとまで発言している。

秋元氏が、まったくの新人をいきなりグループのセンターに抜擢するのはこれが初めてではない。
かつて11歳の松井珠理奈をAKB48の10thシングル”大声ダイヤモンド”のセンター(正確には前田敦子とのWセンターの一人)に抜擢している。

小学5年生だった松井珠理奈は、SKE48のオープニングメンバーオーディションに応募して秋元康総合プロデューサーの目に留まったのである。

当時のAKBメンバーの戸惑いは大きかったが、相手はランドセルを背負っている小学生である。
まともに喧嘩できる相手ではない。

最初はAKBメンバーに対して傍若無人に振舞っていた珠理奈だったが、すぐに挨拶を覚え、大人のいうことを素直に聴くようになっていく。

大島優子や前田敦子、篠田麻里子らは、レッスンや収録の度にランドセルを背負って、名古屋から新幹線で上京してくる珠理奈をすぐに受け入れて、可愛がった。

しかし、堀未央奈の場合はそうはいかなかった。
当時白石麻衣21歳、堀未央奈17歳、わずか4歳しか違わないのだ。
一期生にとって、堀を含む二期生たちは、競い合うライバルとしか思えなくなってしまった。

白石以外の多くの一期生も、堀未央奈センターを受け入れられずにいた。
橋本奈々未は、2013年10月8日のブログで、

(´_ゝ`) こんにちは
7thの選抜発表がありました。
引き続きフロントメンバーに選んでもらいました。
ありがとうございます。
今回も頑張っていきます!!
そして今回はセンターに
二期生の未央奈を迎えます。
選抜発表の収録は少し前にありました。
発表された瞬間は、正直受け入れられませんでした。
未央奈をではなく、大人の判断を。
収録が終わった後、みんなで泣きました
1期は乃木坂の結成からずっと一緒にやってきて、
この2年間、2年しか経っていないことが嘘のように感じるくらい
嬉しいことも辛いこともたくさん一緒に感じてきたし、一緒に過ごしてきました
まだ握手会の日に控え室でしか顔を合わさない、何の経験もない
2期生がセンター
こんなこと言える立場じゃないのは分かってる、けど、
何を基準で抜擢されたのか全く私たちには不明確で、悔しかった
でも決めたんです。
7枚目、未央奈を支えるし、一緒に頑張ります。
モヤモヤした思いを抱いている時間は
自分にとっても、未央奈にとっても、乃木坂にとっても
何のプラスにもなりません。
きっと未央奈はここから数ヶ月
センターという大変なポジションで活動していくことで
飛躍的に成長するだろうしどんどん魅力的になるはずです。
けど、皆さんに
やっぱり1期は違うね、力があるね」
と思ってもらえるように
わたしも未央奈と一緒に成長して、輝いていきたいと思います!(`_´)ゞ
そう意識させてくれた未央奈には感謝しているし、私を成長させてくれる存在です。
一緒に頑張っていこう!!今度ご飯行こう!
なんかあったら、
隣にいるしなんでも聞いて!言って!(`_´)ゞ
未央奈を応援しようと思ってくれている方は既にたくさんいると思いますが
私たちも負けずに頑張るので、
これからも変わらず乃木坂46を応援してほしいです!
よろしくお願いします!
とその複雑な胸中を綴った。

いまだに解消できない一期生と二期生の確執は、ここで始まったのである。

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初選抜の3人は、いずれも芸能活動経験者、選抜落ちは星野みなみ・井上小百合・中田花奈・斉藤優里

7th選抜のもう一つの特徴は、初選抜メンバーが3人も誕生したことである。
この3人には共通点がある。
それは、乃木坂46加入以前に芸能活動をおこなっていたということ。

乃木坂46の運営委員長今野義雄は、乃木坂46結成に当たって、清新さ清楚さといったものを重視していた。
だから即戦力要員として採用したはずの、芸能活動経験者を選抜メンバーに選ぶことを嫌っていた。

その影響をまともに受けてしまったのが、川後陽菜、中元日芽香、衛藤美彩らだった。
乃木坂46メンバーになって2年経過してようやく彼女たちにチャンスが巡ってきたのである。

初選抜の一人目は川後陽菜


乃木坂加入以前にローカルアイドル経験があり、彼女自身もまたアイドルオタクであった。
乃木坂メンバーになってからもしばらくは、他のアイドルのイベントにも足を運んでいたようだ。
言葉のチョイスが面白く、6作連続アンダーながらも出演した数少ない”乃木坂ってどこ?”出演時には、かなりの頻度で爪跡を残している。
これらの事が評価された結果が初選抜につながった。
しかし、このチャンスを活かせず、川後の選抜入りは後にも先にも7thシングルの1回だけとなった。

2人目は中元日芽香


彼女も子供時代に故郷の広島で、ローカルアイドル『SPL∞ASH』のメンバーとして活動していた。
そのことが逆に今野義雄からの評価を下げてしまったのだ。

アイドルとしての必殺技”ひめたんビーム”を繰り出し、握手会では高い人気を得ていたが、メンタルの弱さがしばしば顔を出すこともあった。

実妹の中元すず香がBABYMETALのSU-METALとして華々しく活躍していることも彼女にとってはプレッシャーになっていたようだ。
川後と同様に、8th以降はアンダーに沈んでしまい、2度の休養を経て卒業することとなる。

3人目の初選抜メンバーは、衛藤美彩である。


3人の中で最も輝かしい実績を持っていたのが衛藤である。
2011年7月、『ミスマガジン2011』で約1万5000人の応募者の中からグランプリを受賞、2012年1月には1stソロ写真集彩―いろどり-をリリースしている。

しかし川後や中元と同様に乃木坂では苦難の道を歩んできた。
先が見えない闇の中で衛藤はもがき苦しんでいた。
もう選抜は無理かもしれないと半分はあきらめかけていたところでもあったのだ。

衛藤はもう20歳になっていた。
中元17歳、川後15歳と比べるとアイドルとして活動できる時間はそう長くはない。
これからずっと選抜メンバーになれないとしても、乃木坂46のメンバーを続けようと覚悟を決めた矢先の初選抜入りであった。

折れそうになる心を必死で立て直して、ファンに誠実に向き合ってきた結果、衛藤の握手会人気はグループでもトップクラスとなっていた。
それが今野やスタッフに評価されて、7thシングルでようやく選抜メンバーとして実を結んだのである。

衛藤は、今野の評価を努力でひっくり返し、選抜メンバーへの道を切り開いた。

衛藤は8thで一度(謎の)選抜落ちしたものの、9th以降は選抜メンバーに定着し、卒業するまで選抜メンバーとして活躍する。
川後・中元とは明暗を分けた。

彼女たちと入れ替わりで選抜メンバーから漏れたのは星野みなみ・井上小百合・中田花奈・斉藤優里の4人。

1stから6作連続で選抜メンバーだった星野みなみと井上小百合の二人が、7thで初めてアンダーに落ちてしまった。
星野は9thで選抜に復帰して、その後は選抜常連メンバーになる。
井上は9thで復帰するものの、その後は選抜とアンダーを行ったり来たりするボーダーメンバーとなってしまう。

4thを除いて選抜入りを続けた中田花奈も7thでは選抜から漏れた。
中田はこれ以降アンダーの常連となっていく。

6thで選抜にカムバックした斉藤優里も再びアンダー落ちしてしまった。
優里もこの後ボーダーメンバーとして選抜への出入りを繰り返すことになる。

7thシングルの選抜メンバー発表は、色々な意味で乃木坂46の歴史の中で大きな転換点となった。

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”青学事件”と柏幸奈・宮澤成良の卒業~アイドルを続けるモチベーションとは?~

2013年11月12日、乃木坂46運営委員会は、一期生の柏幸奈宮澤成良(現在は宮沢セイラ)の卒業を発表した。
柏幸奈については学業専念のため、宮澤成良は新たな夢に向かうための卒業であると運営は説明した。

柏幸奈は、小学3年生で芸能活動を開始、ももいろクローバーZの前身であるももいろクローバーのメンバーとして活動していた。
学業のため2009年にももクロを脱退、高校進学後の2011年に乃木坂46に参加した。
柏は白石麻衣にも引けをとらないビジュアルメンとされていたが、学業を理由に握手会を欠席することが多く、人気は伸び悩んだ。

安藤美雲(青山学院大学)、秋元真夏(フェリス女学院大学)より1歳下の柏は、2013年4月に東洋英和女学院大学に入学を果たしている。
その後乃木坂46の活動に本腰を入れたものの、人気も、運営からの評価も上がらず、苦悩の日々を送っていた。

宮澤成良は、かつてプロのバレエダンサーを目指していたが、怪我で夢を絶たれてしまった。
芸能活動には興味があったので、乃木坂46のオーディションに応募して合格したが、ファンが望むキャピキャピしたアイドル像と自分が目指す方向とのギャップに悩む日々を送っていた。

そんな時期にある事件が起こる。
いわゆる”乃木坂46青学事件”である。

青学事件の概要と経過⇚はこちらで

柏幸奈は安藤美雲と同様に、秋元真夏と自分の評価があまりに違うことに納得がいかなかった。
その不満をプライベートのSNSアカウントにアップしていた。

これは運営としては容認できないレベルの事実である。

柏も宮澤も直接的に青学事件に関与していたわけではなかったのだが、その調査の過程でくだんのSNSのプライベートアカウントが発覚、その内容(詳細は青学事件の概要と経過を参照)が問題となってしまった。

柏と宮澤には、運営から厳重注意が与えられ、念願の選抜メンバー入りはさらに遠のくことになった。

一方で、秋元真夏は休養から復帰してすぐに選抜入り、さらに7thでの研究生堀未央奈のセンター抜擢を見て、柏も宮澤もこれ以上乃木坂46でアイドルを続けるモチベ―ションを完全に失ってしまう。

2013年11月17日の”ガールズルールスペシャルイベント”の出演をもって柏幸奈と宮澤成良は、乃木坂46を卒業した。

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